新聞の地方版の荒川特集(その3)は、秩父山地のオオカミ信仰。
登山家で英文学者だった田部重治(1884-1972)が「偉大なる深林美」
と呼んだ秩父山地、ニホンオオカミが生息しオオカミ信仰が芽生えた。
古くは日本書紀に、秩父山地を訪れた日本武尊をオオカミが案内した
とされ「神の使い」と崇められたとある。
荒川上流の秩父山地周辺には、全国的にも珍しく21ものオオカミ信仰
の神社があり、中でも有名なのが三峰神社。境内にはニホンオオカミを
かたどった狛犬があちこちにある。
江戸時代には、田畑を荒らす鹿やイノシシを駆除してくれるオオカミ
を農民が畏敬した。江戸の街では、火を見ると吠えるというオオカミの
代わりに秩父の三峰神社のお札を貼ったという。
江戸城にも三峰山の木が献上されたことからオオカミ信仰は関東から
全国に広がって三峰講となり、今でも約4千の三峰講がある。
明治38年を最後に絶滅したというニホンオオカミだが、絶滅の根拠が
不十分として、20年前から「探す会」を主宰するのは上尾市の八木さん。
新潟の山小屋でオオカミの遠吠えを聞いたのがきっかけ。
一人で活動していた頃、オオカミに似た「秩父野犬」の撮影に成功。
今では仲間と秩父の山中に計80台のカメラを設置して自動記録している。
今まで映像は撮れていないが、一度遠吠えのような音が録音され、分析
の結果、ユーラシアオオカミの遠吠えに酷似しているといわれた。
八木さんは「徐々にニホンオオカミに近づいている」と実感している。
懐古シリーズも秩父湖から秩父の街へ向かうところ。秩父湖をつくる
二瀬ダムの真下に寄り道。この奥に何千万トンもの水があると思うと、
長い時間は留まれない。
あとはひたすら国道140を下る