塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

男性を一歩前に進ませる小便器

2013年11月20日 | 徒然
  
 前回の記事から1ヵ月以上経ってしまいました。どうも、いったん筆が止まると続いてしまうものです。というわけで本日は、ちょっとしたリハビリ程度の内容です。

 先日、とある飲食店でトイレに入ったところ、男性用小便器の前に次のような色紙が額に収められてかかっていました。

 「お道具の 曲がりし方は 是非もなし 人並みならば 中へするべし」

 これがいわゆる「もう一歩前へ!」という男性にはおなじみのお願いであると気づいたころには、用足しが終わってしまっていました(笑)。要は、「ちょっと待て 君のはそんなに 長くない」というのと同じやつですね。

 なかなか面白いな~と感じる一方、肝心の効果のほどはというと、残念ながら文面の凝り方ほどにはないのではないかと思いました。一般に、お願いや警告の類は、発言の主がその場にいないとなかなか聞き届けられないものです。人の善意や良心に訴えるという方法では、配慮してもらえる確率は半々といったところでしょうか。

 いかに男性に小便を外さないようにしてもらうかという問題は、清掃業の方々にとっては永遠のテーマとも思えるかもしれません。ですが先日、この問題を解決する画期的な小便器を発見しました。東京メトロ表参道駅の一画にあるトイレなのですが、この小便器は通常上からみるとコの字型になっているところ、両翼が内側に向いていて、上からみると▽に近い形になっています。

 つまり、充分に近付かない状態で用を足すと、便器の両翼を汚し、最悪跳ね返った自分の小便の滴で服を汚してしまいます。したがって、自然と一歩前に出ざるを得ない仕組みになっています。この便器を発案した人が、果たしてそうした実用性を考えて作ったのか、あるいは単なる面白いデザインなのかは分かりませんが、結果的によくできていると感心してしまいました。

 ポイントは、善意や良心に訴えるのではなく、一歩前に出ないと使用者が困る状態を創出している点にあります。人間、直接の利益・不利益がからまないと、積極的に余分な行動はとらないものです。この場合は、一歩前に出ないと自分が不利益を被ることになります。よほどのことがなければ、「便器や服を目の前で汚してもいいから、一歩前に出るのは止めよう」という発想にはならないでしょう。

 他方、利益を供与する方向での試みとしては、便器に的を描いたものがそれにあたるでしょう。ただし、この場合は得られる利益が微々たるものなので、効果が高いとはいえません。たとえば、的に一定量や一定の圧力がかかるとポイントがたまったりルーレットが回ったりするような仕組みにすれば、より高い効果が望めるでしょう。たしかお台場の昭和レトロなんとかで、そんなようなのを見たことがあります。

 ですが、この案ではトイレの電子機器化が必要になるため、コストがかかります。その点、先の▽型便器は、形状を改めただけで効果が得られるということから、かなり白眉たるアイデアだと思います。画像も貼らずにアツくなってんなよ!といったところでしょうが、今度また表参道に行ったらば、写真を撮って掲載しようかと思います。

 



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