塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

痛いユニーク駅「恋山形駅」改装

2013年06月06日 | 電波
    
 兵庫県南西部の上郡駅から、鳥取県南東部の智頭駅まで、智頭急行という第三セクターが走っています。平成六年(1994)開業ということですから、比較的新しい鉄道ということになると思いますが、この路線の駅のなかに「恋山形駅」というのがあるそうです。この駅を、名前の通りの恋人の聖地にしようと、駅舎をピンクに塗り、構内をハートマークでいっぱいにするなどの改装を施し、今月9日に除幕するのだそうです。

 これがもし、本当に「恋山形」という地名が付近にあるのであれば、「そりゃそうなるわな」と暖かい目で見られるのですが、調べてみるとどうもそういうわけではないようです。駅周辺に実在する地名は普通の「山形」で、当初は駅名も「因幡山形駅」となるはずだったそうです。ところが、地元住民の「強い要望」により、「来い」という願いを込めて「恋」山形駅となったのだとか。つまり、「恋」の字とは「縁」も「ゆかり」もない駅名ということになります。この由来を見たとき、私はあまりにも痛すぎるだろうと目を覆いたくなってしまいました><

 たしかに、全国には「愛」や「恋」の字がついた駅名や地名がたまに存在し、そういったところが恋人の聖地的な集客イベントを行うというのはよくある話です。しかし、たいていは"Love"の意味とは無関係に昔からあった地名にちなんでいるもので、わざわざ何の関係もないのに「恋」の字を付け足すというのは、私には発想として理解できません。一応、「小石浜」の字面を変えた「恋し浜」という駅もありますが、こちらは発音は同じで字だけを変えたわけですから、痛いとまではいかないように思います。

 で、地図好きの私は、智頭急行の線路を地図を開いて追ってみたのですが(ダジャレじゃありませんよw)、この路線には同じような不思議ちゃんな駅名が2つほどありました。1つは、とってもわかりやすいその名も「宮本武蔵駅」です。察するまでもなく宮本武蔵に関係がある駅なんだろうなぁとはおもいますが、これではそこがどこなのかさっぱり分かりません(苦笑)。調べてみると、武蔵の生誕地の「伝承地」の1つであるということで、駅前に像があるそうです。

 もう1つは「河野原円心駅」で、こちらは赤松円心入道則村にちなんだ駅名です(もともとの地名は「河野原」です)。ですが、赤松円心などといわれてピンとくる人がどれくらいいるのでしょうか!?ここまでくると、なんかいじらしさすら感じてしまいます。むしろ「円心」があることで訳が分からなくなっているような気がするのは私だけでしょうか。一応、赤松円心は南北朝時代に足利尊氏を援けて活躍した武将で、この駅の近くに円心が拠点とした白旗城があるということです。だったら、「河野原・白旗城址」駅などとした方が分かりやすいような気もするのですが…。

 とまぁ、珍駅名が並ぶ智頭急行智頭線ですが、おかげで頭から離れることはなく、そういう意味ではいいアピールになっているのかもしれません。ちなみに、くだんの「恋山形」駅は鳥取側の終点智頭駅の隣駅で、鳥取駅から智頭駅までは、普通列車でも40分ほどです。そう考えると、鳥取砂丘に2人で相合傘を指で描いて、恋山形駅に2人で南京錠をかけていくなんてロマンス旅行も、なかなかいいものかもしれませんね^^