塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

学校のネーミングを考える:さくらんぼ小学校事件を奇貨として

2010年09月17日 | 社会考

 このところ急に涼しくなりました。朝晩はうすら寒いくらいで、秋が来たというよりも、このまま冬に突入してしまうんじゃないかと心配です。

 さて、ソースとしては少々古い話ですが、山形県東根市で「さくらんぼ小学校」という新しい小学校を開設しようとしたところ、同名のアダルトサイトがあることが発覚し、改名を余儀なくされるという事件(?)がありました。開校7ヶ月前ということもあり、校名変更までする必要はなかったのでは、という意見もあったようですが、通う子供のことを考えればやむをえない判断でしょう。

 ただ、それ以前に、「何でさくらんぼ小学校なんだ?」という疑問をもった人が多いんじゃないでしょうか。この名称は、市民殻の公募をもとに付けられたものだそうです。山形県はさくらんぼの産地として有名ですが、東根市はさくらんぼの生産量日本一の市町村であり、あの佐藤錦の生まれたところでもあります。さくらんぼは東根市のアイデンティティーでもあり、JRの駅名すら「さくらんぼ東根駅」に改名してしまいました。この駅には山形新幹線もとまるので、東北・山形新幹線に乗るとその名を聞くことができます。

 そのような経緯から、「さくらんぼ小学校」は当たり前のように誕生したわけですが、僕はこの名称はそもそも学校名としてどうなのかな?と思います。親や地域住民は「可愛らしい名称」で済むかもしれませんが、実際に通い、卒業し、学歴として一生抱えることになる子供たちからすれば、ずっと切実です。将来、「さくらんぼ小学校」出身であることが履歴書や経歴に記載されたとき、果たして誇りに思ったり愛着を感じたりできるのでしょうか?少なくとも僕は嫌です。

 とくに今回の場合、もし「さくらんぼ小学校」が誕生して、卒業生が「学校はどちら?」と訊かれて「さくらんぼ小です。」と答えれば、「あ~、あの・・・」という反応が返ってくることは必至です。さくらんぼ小学校という名称を応募し、名称変更に難色を示した人たちは、そこに通うことになる子供たちのことをまったく考えていないといえます。

 「さくらんぼ小学校」そのものについてはこれだけの話なのですが、この問題は、小・中・高等学校といった「地域の学校」の名称がどうあるべきかについて考えさせる格好の材料であるように思います。とりわけ小・中学校というのは、地域の子供、地域の住民のための施設なのですから、基本的にその地域の名を冠して然るべきなんじゃないかな、と思うのです。

 僕の母校の中学は普通に地名から命名されたものですが、近年少子化に伴い近隣の中学と合併し、「青陵中学校」という何の面白みもない校名になってしまいました。もし自分がこの「青陵中学」に通っていたら、あまり愛着は持てなかったでしょう(別に以前の中学に思い入れがあるわけでもありませんが)。

 同様に、半ば個人的ですが、「○○第一」とか「××第二」とかいう呼び方も、僕は好きではありません。そもそも、校名に序数を付けるのは戦前の軍制に倣ったものでしょうから、今の時代にそぐうわけがありません。第一から第三ぐらいまでなら分かりますが、なかには10番台にまで突入しているところもあります。仙台第二高校のように(地元では)有名ならともかく、そうでないなら、序数の学校名も逐次改名した方がいいんじゃないかな、と思います。

 このように、やはり地域の学校の名称というのは、第一に地域に根ざした名称であることが重要なのではないでしょうか。