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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

100歳のコンクリート防波堤が、小樽港を守る!

2022年04月14日 | 土木構造物・土木遺産


北海道での引っ越し作業は順調に終わり、帰路に就くために小樽へ移動。そこで時間を何とか作って、小樽の港の歴史を振り返ってみる。ここにもとびっきりのものがありました。
上の写真、決して釣り人を撮影したものではないのだが、そこにある重厚な土木遺産は意外にも市民の憩いの場として活用されている。釣り人の奥に見えるだろうか?これが小樽港を守る「小樽港北防波堤」だ。
小樽港は、明治政府により設置され、北海道の開拓玄関口として、また北海道からは石炭の積出港として発展し、日本の産業革命を支えた。意外にも地図を確認すると三方向を山に囲われていて、冬の北西からの季節風を避けることのできる天然の良港であることに気づく。

「小樽港北防波堤」は、1908年(明治41年)竣工。なんと113歳。日本初の本格的なコンクリート製の外洋防波堤で、全長1289m。水深14mの海上の投石マウンド上に、コンクリート方塊(ほうかい)を斜めに積み上げ、崩落を防ぎ強度を得ているという。
この工事に携わったのが、日本の土木技術の「祖」と言われる広井勇だ。札幌農学校の教授を経て、小樽築港事務所の初代所長として着任した広井は、火山灰を使った高強度コンクリートを導入し、工事を指揮した。時には、自らスコップを握って指導に当たったり、潜水服を身に着けて海底の状況を確認したりしたそうだ。
この防波堤が現在も立派に機能していることも驚きだが、強度試験用のブリケットと呼ばれる供試体が4000個が小樽港湾建設事務所で保管されており、現在も5年ごとの強度検査でも品質の劣化はないという。

2000年(平成12年)、土木学会選奨土木遺産。小樽港は「重要港湾」、管理者は小樽市。下の写真は、新日本海フェーリーから撮影。(上の写真には、釣り人が見えるが、防波堤上は立入禁止区域なので注意!)




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