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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

最上川の2つの古参アーチ橋と残念な先輩トラス橋

2021年11月17日 | 土木構造物・土木遺産


仙台の出張帰りに、最上川の橋を見学する機会を得た。
上の写真は、朝日町にある「明鏡橋」。RCの開腹アーチ橋。74メートルという大スパンもさることながら、デザイン的にも優れているということで、2006年に選奨土木遺産に選ばれている。
寒河江市や東根市などの村山地方と、長井市・米沢市などの置賜地方を結ぶ国道287号の難所・最上川にかかる橋だ。相次ぐ水害で流され、この橋が5代目。1936年(昭和11年)に完成したが、工事にかかる経費は全て地元が負担した待望の橋であった。
現在、国道287号はバイパス化され、新しい明鏡橋に架け替えられたが、今も現役。新明鏡橋の上から旧橋の全容が確認できるので、撮影スポットに丁度いい。「明鏡」というだけあって、川面に映し出されたシルエットも美しい橋だ。



明鏡橋から数キロ下流にある「最上橋」は、大江町左沢(あてらざわ)と寒河江市中郷を結ぶ。こちらもRC開腹アーチだが、最上川が大きく流れを変える景観のいい場所にあって、三連というのがまた美しい。2003年、選奨土木遺産。
とにかく暴れ川の最上川。明鏡橋もさることながら、この橋も初代の木造橋が落橋や補修続き。永久橋として1940(昭和15年)に待望のコンクリート製の橋が完成し、現在も補修工事を繰り返しながら、重量制限を設けて使われている。
山越えが続く国道287号は「酷道」と言われ、そしてこの橋は幅員も狭いことから「酷道の意地悪ゲート」と揶揄されていた。現在、バイパスに新しい橋が完成(2003年)したが、この旧橋も住民から存続・保存の声が上がっているという。愛されているんだなー。

実は、最上橋からさらに下流に80キロほどの大蔵村には、土木学会の「現存する重要な土木構造物2800選」の中でAランクに位置付けられた「大蔵橋」がある。(正確には「あった(過去形)」。写真下:旧大蔵橋が架橋されていた場所と架け替えられた新大蔵橋。)
こちらの橋は、鋼トラス橋で1931年(昭和6年)に完成だから、前述の2つの橋より先輩になる。下路式上曲弦の単純プラットトラス、長さ165メートルだから、現存していれば単純トラス橋としては最大支間ではないか?(ハッキリは断言できないが…。参考(山形新聞):https://www.yamagata-np.jp/bridge/bridge_detail.php?river=mogami§ion=1&num=9)
これが現存していれば、このブログでも「最上川の三大道路橋」とか言えるんでしょうけど、見れなかった残念な限り。まあ、先に紹介した最上川橋梁といい、最上川の橋梁群も見どころ満載というところです。(2020年8月24日、同年9月19日の記事参照)



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