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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

「旧浦村鉄橋」は地元住民に愛されて120年

2021年03月20日 | 土木構造物・土木遺産


まだ雪の残る頃、長岡市の旧越路町にある土木学会選奨土木遺産である「旧浦村鉄橋」を訪れた。鉄橋?そう、初めは鉄道用に掛けられた橋だったが、道路橋に転用された橋なのである。
旧越路町の旧浦村に1898年鉄道が敷設される。対岸の長岡市の間には、日本一長さを誇るの大河・信濃川が存在しており、北越鉄道(現・JR信越本線)がこの地に掛けたのが旧浦村鉄橋。イギリス製の6連の下路式プラットトラス橋。
1952年、信越本線の複線化のために新鉄橋が建設され、鉄橋は新潟県に払い下げられ、岩田橋(写真上:1958年開通)、不動沢橋(写真下:1959年開通)、旧越路橋(1959年開通)の3つの道路橋に移設・転用された。



あばれ川として知られる渋海川にかかる岩田橋と不動沢橋は、単線の鉄橋をそのまま移設したため道路幅3.6メートルとかなり狭い。ただ、住民の強い要望もあって第二の人生を同じ旧越路町内でスタートさせ、見事に現役で働いている。
旧越路橋に転用されたものは、県単体での改築事業は難しいとされ、日本道路公団に事業を継承し道路幅を二車線に拡幅(6.0メートル)し、新潟県では初めて有料道路として生まれ変わった。(旧越路町や長岡市、新潟県が繰り上げて工事費を払ったため1967年に無料化)
しかし、旧越路橋は、現在の越路橋の完成とともに撤去されることになり、その一部が信濃川河川敷を利用した越路公園に移設保存されることになった。(写真下:ちょっと長さを短くして公園内に保存されている旧浦村鉄橋、そしてもう一枚は現在信濃川にかかる信濃川橋梁と現越路橋)



一つの橋梁が、3つに分割されてそれぞれ道路橋として生まれ変わったという物語を持つ上、2つの橋はまだ現役。今年で122歳ですよ。新潟県内では、萬代橋や長生橋を足元にも寄せ付けない圧倒的な長寿ということになる。
萬代橋や長生橋などからするとちょっと地味なところもあって、選奨土木遺産に登録されたのは令和元年とつい最近の話。
ただ、ここでも地元の住民から切望され移設・架橋され、利便をもたらし、また一部は愛されて保存もされている旧浦村鉄橋。土木事業や公共事業の原点を見るような気がする。


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