時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

陽転の瞬間

2015-05-20 | essay



父の心臓手術のため早朝の新幹線で大阪へ。

その前夜よく眠れず、ひとりで黙って新幹線に揺られ
大阪駅から病院へ向かうタクシーの座席に黙って座ってるわたしに

タクシーのおっちゃんが
「今夜、雨になるとはおもわれへんですなあ。」と
のんびりした口調で話しかけてきた。

そう言われて、その時初めてこの日の大阪の空をみるわたし。
薄雲はあるけれど、日差しがこれからもっときつくなりそうな午前10時の空。

「ほんとですねえ。」 と 答えつつ空をぐるりと見渡すと

わ!!
「にじ!!」 ビルとビルの隙間に
太っい虹が浮かんでいるのを見つけて叫ぶわたし。

ちょうど信号待ちだったおっちゃんも
「え!?どこでっか?」と身を乗り出す。

雨もまったく降っていないし空も晴れているのに
そこにだけほわんと浮かぶおおきな短い虹。

タクシーのおっちゃんとふしぎな虹を一緒にみながら
硬直していたココロがふわ~と融けるのを感じて

 (ああ、手術はうまくいく) と直感する。

なんだかほっとして
「これから父の手術なんですよ~、心配だったけどこれで大丈夫ですわ~!」
と、おっちゃんにぺらぺらしゃべるわたし。

おっちゃんも
「ああ、そら、よかったですなあ!」 とにこにこ同調してくれる。

やさしいおっちゃんと吉兆の虹。

おっちゃんが天気の話をしてくれなかったら
わたしは空をみていなかった。
吉兆の虹も見逃すところだった。

こういうの なんていうんだろう。
ありがたいことだなあ。。。


結果、手術は通常より難儀だったようだけれど無事終了し
またもや何度目かに命拾いした80歳の父。

あの虹のお告げ(?)で
これで父は100歳もゆめじゃないな。 と思いつつ帰路についたのであった~。

いろいろやってくれちゃう父だけれど
たのしく生きていてくれたらもう十分。
元気でいてね。たったひとりのわたしのオヤジさん!


 


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