新古今和歌集の部屋

釈教歌 最澄 都名所図会 青龍三 比叡山延暦寺2 蔵書

比叡山延暦寺一乘止観院は本朝五岳の其一ツにして王城鬼門に當れば艮
 峰とも號す。はじめは日枝山と書きしを桓武天皇の御宇延暦年中に傳教
 大師と叡慮を等しうし帝都鎮護として根本中堂を建営し給ふより比
 叡山と改らる(又別名ありて天台山我立杣艮岳鷲峰台嶺
       叡嶽大日枝小日枝等の号あり)
 新古  比叡山中堂建立のとき
  阿耨多羅三藐三菩提の佛達我立杣に冥加あらせ給へ   傳教大師
 拾遺  愛宕山の一の鳥居より日枝山を見れば駿河の富士を見るにひとしとて都のふじといふ
  我恋のあらはにみゆる物ならば都のふじといはれなましを 讀人しらず
    東塔(止観院と號す。西塔横川を合はせて三塔といふ。
       東塔の東谷に十一坊西谷に十一坊、南谷に十
       二坊北谷に十二坊あり
 根本中堂(本尊は薬師仏開基 一乗戒壇堂(迦文殊弥勒を安置す。嵯峨天皇弘
     傳教大師の作なり)      仁十四年の造立にして慈覚大師入
 唐のとき漢土の五臺山の土を   文殊楼(五臺山をうつして本尊には 大講堂(本尊は   
 荷担してかへり戒壇の下に埋みたまふ)   文殊菩薩を安置す)       大日如来
 梵天帝釈文殊を安置す。深草天皇の御願也。 前唐院(慈覚大師の 千手堂(千手観音
 大會執行のとき勅使参向の堂なり    )    廟堂なり)      を安置す)
 山王院(智證大師の本房にして 千手井(又弁慶水ともいふ。西塔武蔵坊千手堂に
    山王の神常に影向の地也)   千日参籠す。此水を毎日閼伽とせしより
 此名あり。平相國清盛熱病の時 浄土院(伝教大師の廟堂なり。最澄と號す。
 此水を石舩に湛て沐すといへり)    俗姓は三津氏、江州志賀郡の人なり)
    西塔(宝幢院と號す。西塔の東谷に九坊南谷に十坊
      北谷に十二坊有。浄土院を下りて谷川を堺とす)
 法華堂(本尊は普賢   転法輪堂(本尊は釈迦・文殊・四天王。承和元年 常行堂
     菩薩なり)       勅によって延秀円澄造立す     )
 (阿弥陀仏を安置す。寛平 椿堂(如意輪観音を安置す。山門建立以前聖徳太子此山
 五年静観僧正建立なり)    に登りて勝地を求めてこの本尊を安置す。又椿の御杖を
 藍の傍らに立て置かれけるが後に枝葉茂りて 宝幢院(恵亮和尚の 相輪堂(王城の東北
 大木となる。年経て荒廃に及び今小堂あり)     廟塔なり  )  にあたる印にして
 教大師の銘あり。俗に鬼門柱といふ。高さ四丈五尺   青龍寺(黒谷にあり。本尊文殊
 九層あり十一の宝鐸を懸くる。弘仁十一年歳次庚子九月十一日ト有) 十一面観音浄名居士を
 安置す。法然上人此所に住す
 木像あり。俗に元黒谷といふ)
    横川(楞厳院と號す。十四坊あり)
 中堂(本尊聖観音は慈覚大師の作。 慈惠大師廟(釋良源といふ。永観三年正月
   脇士は毘沙門不動なり   )      三日入寂す。此ゆゑに元三大師と
 いふ。俗姓は木津氏にして江州浅井郡の人なり。大師の影像飯室 四季講堂(五部大乗
 横川御鬮に就て安置す。都鄙の詣人日〃に多くありて霊惟新たなり)    四季に講
 讃あり。故 大師堂(村上天皇の御願にして、慈惠大師の開基也。 観音堂(華表岡
 に名とす)    弥勒如意輪不動山王を安置す)         又不二門
 といふ。願諸來向者皆不二門の額は  慈忍和尚廟(横川小聖と号す。九條殿
 慈覚大師の筆也。首楞厳院に掲る )       師輔卿の十男なり   )
 飯室(横川の別所也。寳満寺  安楽院(恵心僧都住給ふ所也。本尊阿弥陀佛
   といふ。不動堂あり  )     恵心の作。又恵心の像を安置す。院内に
 菩提樹あり。これは恵心僧都の制作し給ふ往生要集を宋國へ贈られしとき、四
 明の知礼禅師披見して随喜し報酬のため此菩提樹一株を渡す。恵心これを

 植給へば日に枝葉繁茂しけり。元亀の兵火に滅しける所十有九年を經て此樹に
 忽枝芽出て再生す。山門是より再興に及ぶ。故に後鑑の樹と謂べし。○當院に叡桓
 僧都のすませ給ひ法華經一萬部精ありし時
 釋迦普賢の尊像忽然として壇上に顕れ感見すといふ)




新古今和歌集巻第二十 釈教歌
 比叡山中堂建立の時歌
           伝教大師
阿耨多羅三藐三菩提の仏たちわがたつ杣に冥加あらせたまへ

読み:あのくたらさんみゃくさんぼだいのほとけたちわがたつそまにみょうがあらせたまえ 隠

意味
無上正等覚の仏たちよ。比叡山の山林を切り開いて建立する延暦寺根本中堂と天台の仏教に加護を与え給え

備考:伝教大師最澄が延暦4年(785年)比叡山上に草庵を結び、3年後の延暦7年(788年)現在の根本中堂の場所に小堂を創建したのが始まり。





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