徒然なるまま読書感想ブログ

日々読んだ本の感想ブログです。小説、ビジネス書、ライトノベルなど通勤中、休日に読んだ本の感想を自由に書いていきます。

【この銀盤を君と跳ぶ】 感想

2024-01-29 12:25:00 | 一般文芸


 2030年、新潟オリンピックを目指す天才少女が2人。


 オリンピックの切符は残り1枠。


 その1枠を争う日本選手権の3日間が幕をあける。


 よくテレビで見る、女子フィギュアスケートを描いたお話なのですが、世界を取るために、彼女たちには残酷なものがつきつけれていることを改めて知ることになります。


 そう、それは


 年齢と体の成長。


 私は、成長すればより選手として輝くものだと勘違いしていました。


 浅田真央は15歳であそこまで強かったんだから年を重ねて成長すればもっと強くなるだろうと思っていました。


 しかし、彼女は体が成長すればするほどトリプルアクセルを失敗するようになりました。

 実は成長すればより技術が上がるだろうと思われるはずの当たり前がこの競技では邪魔になることがあるということ。


 そしてその成長のせいで煽りを受けやすいのがこの女子フィギュアスケートだということになります。


 何が言いたいかと言うと、どんなに凄いフィギュアスケートの選手でもピークを迎えるのは基本的に早いし、そのピークも長くは続かないということです。


 まだまだ人生なんてこれからよ?という時にピークを迎える女子フィギュアスケートは精神も未熟なときから一線で争わないといけないということから、見た目はめちゃくちゃ華やかですが、物凄くシビアな世界だなと思いました。


 人々を魅了するはずのフィギュアスケートも競技となると採点がわかりやすい技の難易度に左右されてしまうので、難易度の高いジャンプを跳べるほうが絶対的に有利だし、フリーの基礎点がほぼ支配する世界になるので。


 この数字の暴力が超えられない壁として出てくるし、実際私達がテレビで見ているフィギュアスケートもまさにこの基礎点が全てになってるよなぁとも思いました。


 ただ、本作品の凄いところだなと思うのは、そうした華やかなフィギュアスケーターの裏方部分にもスポットライトが当てられているところです。


 本作品には尖った性格の持ち主の天才とも呼ぶべき才能の2人のフィギュアスケーターの2人が登場しますが、この作品のメインでその少女たちを語るのは、私達が知らないフィギュアの裏方部分の2人。おそらく、この2人がメインヒロインと言っても過言ではないと思います。


 片や振付師、片や共に歩んだ友達。


 この二人から語られる、オリンピック代表枠を賭けた大会の当日までの2人少女たちの生い立ちやトラブル。


 2人の少女の生い立ちが語られて、大会3日目のフリーが始まるという展開に、あなたはどちらも応援したくなるはず。


 フィギュアスケーターの2人を支えてきた人たちの想いを乗せて、それぞれの最高のフリー演技が始まる。


 今まで見てきたフィギュアスケートの裏の部分も見えて、選手だけじゃなく、いろんな人が選手に関わっていることもわかり、これからのフィギュアスケートの見方も一味違うものになる予感しかしない作品。


 そう、フィギュアスケーターはきっと


 「この銀盤を君と跳ぶ」


 関わった人々の想いをものせて。


※ブクログに掲載した感想を転載しております。

 フィギュアスケートの特に女子のピークは若いうちにきてしまい、それは長続きしないことがほとんど。

 つまり、一瞬の煌めきの中で世界の頂点を、はたまたオリンピックの金メダルを目指す競技なんだなと改めて思った作品です。

 ただ、途中、夢をあきらめなければならない人がほとんどなのですが、その諦めた先の未来もあるんだということを教えてくれる作品でもあると思いました。

 
コメント
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