カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

スタディーツアー報告⑥フレンズのチャイルドセーフセンターを訪問して

2008年10月09日 12時25分38秒 | Weblog
今日は、スタディーツアー報告その6です。スタディーツアー3日目の朝、HCCグッデイセンターの少女達との別れを惜しむ間もなく、シーライツの協働NGOフレンズ・インターナショナルのチャイルドセーフセンターを訪問しました。フレンズ・インターナショナルの活動について、スタディーツアー参加者今井誠二さんが以下に報告をして下さいます。

フレンズのチャイルドセーフセンターを訪問して
大学教員(48)今井誠二

 カンボジアには、都市部に14,000~24,000人の路上生活をしている子どもたちがいます。FRIENDSは1994年以来、チャイルドセーフネットワークを構築して、労働搾取、性的搾取を受けやすいストリートチルドレンの保護・支援の活動をしているNGOです。

 私たちは、FRIENDSのプノンペン市内にあるチャイルドセーフセンターを訪問し、チャイルドセーフネットワークアドヴァイザーであるヴァージニア・ヤングさんから具体的なお話を伺うことが出来ました。活動内容についての説明メモを、その都度なされた質疑応答も含め以下に記します。

※チャイルドセーフネットワークとは、子どもたちに教育・住居・訓練を提供し、地元住民のみならず、全ての虐待から子どもたちを保護する国際的協力活動を行うネットワークです。

 FRIENDSでは、現在、大きく分けて以下の四つの活動を行っているそうです。
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1.民間企業に対する啓発活動
・タクシーやトゥクトゥクドライバーに対するトレーニング
・インターネットカフェ、地域住民と子供達自身、ガイド、旅行代理店の従業員、政府職員、多国籍企業への働きかけをしている。タクシードライバー、旅行社、企業など、立場の違う 人々・法人に対し、それぞれ違うアプローチで「子どもを 守りましょう」と呼び掛けている。
※トレーニングを受けたドライバーはトレードマークの入ったシャツを着ることが 出来るが、規範を破ったドライバーは取り上げられてしまう。

○トレーニング内容:危険な状態にある子どもの通報の仕方をどうするかを教えている。
○ホットラインサービスの提供(24時間)
○通報後の流れ:性的搾取の危険にある子どもと大人の二人組みを発見したら通報する→ソーシャルワーカーが現場に急行する→被害者の救出・(必要に応じて)被害者を医者につなげる・入院させる(費用他はフレンズが負担)

Q)ホテルやトゥクトゥクドライバーの収入減につながらないか?
A)トレーニングを受けたいという希望者が多い。フレンズ側で希望者の「子どもを守りたい」という意思を確認してから、トレーニングを行うことにしている。そして、レーニングを受けたメンバーは、センターや雑誌でも宣伝するので、収入も増える。現在1,000人いるトゥクトゥクドライバーのうち367人がトレーニングを受けたメンバーである。トレーニングを受けたドライバーが規範を逸脱した行為をした場合には、メンバー資格が剥奪される。

Q)ホットライン相談の頻度は?通報してからの手順は?
A)毎月60~80回の通報があり、中には緊急ではないものもある。現場への急行は24時間体制をとっている。
A)トンレサップ川沿い地域は、観光客が多い地域であり、親子ではないような大人と子どもがトゥクトゥクやバイクに同乗した場合、メンバーはフレンズに連絡して、調査部門につなげ、性的虐待がある場合には、地元警察と大使館に働きかけ、起訴する。
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2.地方から出稼ぎに出ている子供たちへの働きかけ
・(長距離バスから降りてきたりして)出稼ぎに来たばかりと見られる子どもたちがいるのを見かけたら通報する。
・仕事をしたいのであればセンターで訓練を受けてから仕事に就くように促す。
・訓練期間中は施設で宿泊できるようにし、最長2年間のコースを提供し、市民教育、保健教育のほか、安全に暮らせるようにライフスキル教育も提供する。
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3.インターネットオンラインでの情報提供
 ポルノサイトから恋愛とセックスの情報を得ようとする若者に対して、ウェブサイトを構築している。http://www.healthlandlove.org このサイトで、Dr. Loveというバーチャルキャラクターに対して、様々な質問をすることがで きる。インターネットカフェのオーナーにも働きかけ、サイトを宣伝している。
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4.旅行者に対する啓発活動
 以下に挙げる、七つのポイントを知らせる旅行者向けパンフレットを作って各国語に翻訳して配布している(日本語版は作成中)。

ポイント1:チャイルドセーフ・ネットワークメンバーをサポートして下さい。タクシー、トゥクトゥク、ホテル、ゲストハウス、レストラン、インターネットカフェ、旅行代理店などの従業員が子どもを虐待するような状況から保護するための訓練を受けています。http://www.childsafe-cambodia.org でチャイルドセーフメンバーのリストをチェックしたり、チャイルドセーフのロゴがついているかをよく見ましょう。メンバーのお店を利用してください。プノンペン市内のチャイルドセーフセンターを訪問してください。

ポイント2:路上や浜辺、寺院でものを売る子どもたちから何かを買う前に、もう一度よく考えてみてください。物乞いをする子どもたちや幼児を抱える親たちにお金をあげないでください。ものを買ったり、金銭を与えることで、(結局)彼らや彼女らを路上や危険な場所にとどめておくことになります。もし彼らや彼女らを本当に助けたいと思うなら、子どもたちにお金を上げるのではなく子どもたちを支援してより良い未来を持つことが出来るようにする活動を見つけ、支援してください。

ポイント3:傷つけられやすい子どもたちと家族をサポートするため、チャイルドセーフ認定製品を購入してください。チャイルドセーフ認定製品を購入することは、直接子どもに金銭を与える代わりにすることができる、効果的なもう一つの選択肢です。チャイルドセーフ認定製品は、子どもたちが学校に戻ることができるように、その親たちによって生産されており、トレーニングを受けた、以前路上にいた若者たちが仕事を見つけることが出来るように、彼ら彼女らによって生産されています。

ポイント4:孤児院ツアーの危険性について気をつけてください。
※良い団体であるか否かを決める試金石
・ポイントは、子ども保護ポリシーを持っているか否か
・訪問者への同行・指導・監視をしているか
・保護のためのトレーニングをしているか
・子どもに教育の機会を与えているか(観光客のための見せ物にしていないか)
・会計報告をきちんとしているか
・訪問者の背景を知らずに受け入れていないか
・子ども達が18歳になった時に、どのように社会に入っていけるかを考えているかどうか

ポイント5:たとえどんな理由があっても、子どもたちをホテルの部屋に連れて帰ることは、良い考えではありません。あなたを当局とのトラブルに巻き込む可能性があります。

ポイント6:売買春が容認されているような場所に近づかないで下さい。

ポイント7:回りに広く目を向けて、もし、子どもが危険にさらされているのを見たら、地方当局に知らせるか、パンフレットにある番号に電話して知らせて下さい。
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 センター訪問後、私たちは少し離れたトレーニングセンターに併設されているレストランで昼食をとり、訓練された若者たちの作品をおみやげとして販売する売店で、買い物をしました。レストランでは、教師と生徒のロゴが入ったユニフォームを着た従業員が実際の接客の仕事をしながら、社会に出るためのトレーニングをしていました。またトレーニングセンターを建てるレンガを一つ50ドルで買うことで、フレンズを応援するキャンペーンが行われており、ツアー参加者が早速申込みをしていました。

 その後の自由行動で訪れたプノンペン市内のロシアンマーケットやシェムリアップのマーケット周辺でも、チャイルドセーフのメンバーや、フレンズの販売店をみかけ、ネットワークがかなり広がっていることを実感しました(2008.9.9記)

写真は、トゥクトゥク、バイクタクシードライバーなどへのトレーニング用教材について、説明をして下さっている、フレンズ・インターナショナルのヴァージニアさん(写真右)と通訳をする甲斐田代表理事(写真左)です。

チャイルドセーフネットワークがより一層広がる様に、ぜひ会員になってください!
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