カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

○カンボジアの家族の温かさに触れて○ スタディツアー報告 その1

2008年05月14日 20時13分43秒 | カンボジアの子ども
みなさん、こんにちは。甲斐田です。今年の3月に国際子ども権利センターはスタディツアーを実施したのですが、その参加者が見たり体験したことを文章にまとめてくださったので、今回からそれらをこのブログでアップさせていただきます。
(字の色による強調はこちらでつけさせていただきました。写真は筆者の宮澤さんと村の子どもです。)

○カンボジアの家族の温かさに触れて○

                                         宮澤祥子さん(大学生) 

 今回私は英語に全く自信がなかったため、日本語を勉強しているヴィッチニーのお宅にホームステイさせていただきました。ヴィッチニーのお宅には4人のメンバーでお邪魔しました。

ヴィッチニーは20歳の女性で、クメール語・英語・中国語・日本語が話せる勉強家で、自分の考えをしっかり持っているとっても可愛い人でした。

 ヴィッチニーとヴィッチニーの妹ヴェッツも一緒にツォール・スレン博物館を見学し、その後ヴィッチニーの運転する車で家に向かいました。ヴィッチニーの家はプノンペンから車で30分位のところにありました。車内ではホームステイというドキドキ感もありましたが、ヴィッチニーはとても気さくで、私たちの質問に日本語・英語・ジェスチャーを交えて色々と答えてくれました。たまに日本語が通じない時もあり、英語が話せればもっとヴィッチニーと話が出来たのにと残念に思い、本気で英語を学びたいと思うようになりました。

 家に帰る途中、私たちのリクエストにより観光地でもあるセントラルマーケットに寄ってもらいました。セントラルマーケットは大きい市場にも関わらず溢れんばかりの人でした。私はお土産にクロマーが欲しかったのでヴィッチニーに伝えると、お勧めのお店を教えてくれ、大判のシルクのクロマー2枚を格安の5ドルで買うことができました。良い買い物が出来て大満足でした!!セントラルマーケットを出て、家路の途中にいくつかのお寺がありました。私たちが興奮して車内から見ていると、記念にという事で車を止めてくれ、説明してくれたり記念写真を撮ったりと、ヴィッチニーの温かい心遣いが嬉しかったです。

 ヴィッチニーの家に着くと、ヴィッチニーのお婆ちゃんとパパとママが笑顔で私たちのことを迎えてくれました。私たちが玄関先にある椅子に座っているとヴィッチニーは庭に生えているマンゴーをもぎ、私たちにご馳走してくれました。緑色のマンゴーは酸っぱいけれど、日本では味わったことのない新鮮な味でとっても美味しかったです!!こっちではそのマンゴーに塩と砂糖と唐辛子を合わせた調味料につけて食べるそうで、果物というよりは野菜という感覚でした。途中からヴィッチニーの友達のマリナさんのお宅がホームステイ先のメンバーも加わり、大人数で夕飯をいただきました。鶏を焼いたもの、卵焼き、餃子、サラダにデザートには熟した甘いマンゴーと美味しいものを沢山ご馳走になり、大満足でした。夕飯を食べ終わると、今度はマリナさん宅にお邪魔させてもらいました。マリナさんの運転するバイクで向かったのですが、バイクの3人乗りなんて日本では経験出来ない事だったので大興奮でした!!マリナさんの家族も温かく私たちを迎えてくれました。マリナさんの家では、庭でとれるココナッツジュースや、ココナッツとゴマの餡をもち米で包んだお菓子やまたまた美味しいマンゴーなど沢山ご馳走になり、カンボジアの人たちの暖かい心遣いに感動しました。

 ヴィッチニーの家に戻ると、ヴェッツと折り紙をして遊びました。ヴェッツは日本語はもちろんの事英語も片言だったので、二人で会話につまりつつもジェスチャーでコミュニケーションをとりました。ヴェッツは私が持ってきた和紙や折り紙の本に興味津々で、鶴や箱など折るたびに真似をしてどんどん折り方を覚えていきました。上手に折る度に褒めると、照れ屋のヴェッツは恥ずかしがりながらもとっても可愛い笑顔で応えてくれました。妹が出来た感覚で私もとっても嬉しかったです。その後、ヴィッチニーやママや弟も加わり、みんなで折り紙で遊びました。

 次々出来上がっていく折り紙にみんなとっても喜んでくれて嬉しかったです!!夜はヴィッチニーと日ごろの生活や将来など、年が近いからこそ分かり合える悩みなど少し深い話も出来良かったです。朝はマリナさんの家にお邪魔して朝ごはんをいただきました。お粥に梅干に塩魚いりの卵焼きにお漬物など、日本人の私たちのために用意してくれたメニューが並んでいて、久しぶりの日本の味が嬉しかったです。朝ごはんを食べ終わるとトゥクトゥクに乗って待ち合わせ場所のホテルまで向かい、寂しいながらもお別れをしました。

 今回のホームステイで私が感じた事は2つあります。まず一つ目はカンボジアの人たちの温かさです。初めてのカンボジアで始めてのホームステイということで緊張していた私たちの心を溶かしてくれたのは、ヴィッチニーやヴィッチニーの家族の温かく優しい笑顔でした。言葉は通じない私たちに常に笑顔で接してくれ、一生懸命ジェスチャーで話しかけてくれる。そして、ここまでしてくれるの?と驚く位のおもてなしなど、家族の優しさで溢れている家庭にお邪魔出来て本当に良かったと思います。ヴィッチニーのママに「ママ大好きー!!」と抱きついた時、ヴィッチニーのママもとびっきりの笑顔で抱きしめてくれたことは決して忘れません。

 2つ目はカンボジアの格差です。今まで貧困地域やグッディーセンターなどを見てきたこともあり、逆にこういった一般家庭に違和感がありました。ヴィッチニーの家は3人きょうだいでみんな学校に通い、家も立派な一軒家で、そこには温かな家庭が存在します。今まで見てきた村の家庭では、両親が出稼ぎや亡くなったという理由でいなかったり、子どもたちは学校にも満足に行けずに家に縛られているというケースが普通でした。同じカンボジアでここまで差がはっきりとしている現実に少し戸惑いを感じました。日本でも格差はあります。しかし、カンボジアの貧富格差は大規模で鮮明なものなのです。私も日本に帰ったら両親も健在で学校にも通え、生活には困らない裕福な家が待っています。自分のおかれている環境、また、カンボジアの中流階級以上の家を考えると貧困地域で出会った人たちの生活、そして何より子どもたちの生活、子どもたちの生きる権利を真剣に考えていかなければならないと感じました。カンボジアが着実に発展している事は都市部にいると感じることが出来ます。しかし、その裏には日本では想像出来ない程の貧困も存在するのです。このツアーでカンボジアの表と裏を見ることが出来て良い経験が出来たと思います。

○感想○ 

 このツアーから帰って来てまず思ったことは、このツアーに参加して本当に良かった!!ということです。カンボジアの人々・風景・食べ物など毎日見る物体験する事が新鮮で、あっという間の1週間でした。
 
 スタディツアーということで、子どもの権利やカンボジアの子どもの現状などの知識だけでなく、被害が起こりうる現場から社会復帰までの流れにそって実際に現場を見る事ができ、とても貴重な経験もさせていただきました。貧困地域の村に行き、普段観光客の目には映らないカンボジアの子どもの現状の深刻さを目の当たりにした時、「何とかしたい、自分には何か出来ないのか?!」と今すぐ手を差し伸べられない自分をとても悔しく感じました。
 
 家族のために働くのが当たり前、お金が無いから働かなくては生きて行けない。日本では考えられないくらいの幼い子どもたちが“お手伝い”ではなく“仕事”として働かされているのです。それでも子どもたちは溢れんばかりの笑顔で私たちを迎えてくれました。あの子どもたちの輝いている笑顔は忘れられません!!

 そんな子どもたちの笑顔を曇らせない為にも、児童労働・人身売買・性的搾取防止の活動を起こしていかなければならないと強く感じました。カンボジアの女性や子どもの権利・命・性のもろさを考えると、C-Rightsやパートナー団体の各国のNGOの存在の大きさははかり知れないものだと感じました。

 このツアーに参加して学んだ多くの事、吸収した多くの事を生かして自分なりに行動にうつしていきたいと思っています。カンボジアから子どもの搾取、児童労働が無くなる為にも自分には何が出来るのかを考えて行きたいです。

 最後に、甲斐田さん、近藤さん、(通訳の)井伊さん、(ガイドの)ポォキーさん、そして一緒にツアーに参加したメンバーなど全ての人に恵まれた事を心から感謝しています!!1週間共に生活し、楽しさも寂しさも共感し合い、常に笑いあっていられたのも本当に素敵な方々に出会えたからだと思っています。皆さんと一緒にカンボジアで過ごせた事を心から嬉しく思います。ありがとうございました☆