カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの性的搾取防止<フレンズの画期的な取り組み1>

2005年12月02日 11時27分23秒 | 性的搾取防止プロジェクト(意識啓発)
みなさんこんにちは、平野です。
昨日に引き続き、国際子ども権利センターのパートナーNGO、フレンズの活動をご紹介します。今回ご紹介する取組みは、画期的な活動といえると思います。フレンズには、今年3月国際子ども権利センターから2台のバイクと1台のデジタルカメラが支援されています。

【誰もが利用する市民の足】

カンボジアや他の東南アジア諸国をご旅行の経験がある方は、町中がバイクタクシーで溢れているのをご存知だと思います。日本にはない光景ですが、繁華街や人の集まるところに、多くのバイクが客待ちをしています。カンボジア語ではこれを「モトドップ」と呼びます。「モト」は「モーターバイク」から来ているようです。

このモトドップは、多くの人に愛用されています。自家用車や自分のバイクを持たない人たちはどこに行くのもモトドップ。つまり、外国人観光客の多くも、このモトドップで移動するわけです。つまり、子どもの性的搾取を目的にカンボジアを訪れた外国人も、エイズを恐れて子どもを買おうとするカンボジア人も多くはこのモトドップを利用して、買春宿に行ったり、カラオケバーや路上から少女や少年をゲストハウスに連れ帰ったりするわけです。私自身、モトドップに乗って買春を持ちかけられた経験は何度かあります。

【モトドップ・ドライバーへのトレーニング】

フレンズは、このモトドップドライバーに目をつけました。日本でもタクシーの運転手さんの意見を景気指数を計る際に採用しているという話がありますが、確かに彼らは街の実態や生の情報を豊富に持っている存在だと言えるでしょう。フレンズは、モトドップドライバーにトレーニングを受けてもらい、子どもの味方になってもらうことで、子どもを性的搾取から守ろうと考えたわけです。

フレンズは、まずプノンペンでモトドップの数が多い場所(ゾーン)を8ヶ所選び出し、そこにスタッフを派遣し、トレーニングを受けることを希望するドライバーを集めました。ここでも国際子ども権利センター支援によるバイクの機動力が活かされています。第一期の参加者として、総勢200名のドライバーが参加したということです。

【チャイルド・セーフ・モトドップの誕生】

トレーニングでは、

☆子ども買春者を運んだら、ドライバー自身も罪に問われかねないこと
☆子どもの健全な発育を阻むような環境では、国がダメになってしまうこと
☆そのような環境では、自分の子どもにだって危険が及ぶかもしれないこと

などを、ピクチャーカードを中心に説明します。そして子ども買春者とその被害者と思われる子どもの組み合わせの客は乗車拒否すること、そういった不審な客や危険な目に遭っていると思われる子どもを見かけたら、フレンズに連絡すること、などのレクチャーを受け、試験に通ったドライバーは、「チャイルド・セーフ・モトドップ」と認定されます。今回は約100名が「チャイルド・セーフ」のロゴ入りシャツと帽子、そして認定証を手にすることができました。今後は彼らに出稼ぎなどについてのトレーニングも受けてもらい、より心強いパートナーになってもらう方針です。

※写真は「子ども買春者の乗車は拒否して、フレンズに連絡してください。彼らは警察に逮捕され、あなたは感謝状を受け取ります、という内容のピクチャーカードを手にしたフレンズのスタッフです。彼が着ている服と同じものが、試験をパスしたドライバーに与えられます。

次回はこの「チャイルド・セーフ・モトドップ」について、ドライバーの方にも登場してもらい、より詳しくご紹介します。

フレンズ
http://www.streetfriends.org/index.html

日本にいても、子どもたちを守るパートナーにはなれます ↓

http://jicrc.org/pc/member/index.html