切ったら泣かすよ

好きになるってムツカシイ

チェーザレボルジアあるいは優雅なる冷酷

2006年06月17日 | その他

TB練習版(あなたのベストセラーを紹介して下さい)に初参加します。

私のベストセラーは【チェーザレボルジアあるいは優雅なる冷酷】です。
中世ローマに実在した男を取り上げたもので・・・ジャンルは歴史小説になるのでしょうか。
史実に基づいた厳密な事実が縦軸、作者のこの主人公への愛が横軸になっていて、
堅苦しい歴史モノとは一味も二味も違ったお話になっています。
いい男なんですよー!!
中世のイタリアは小国が乱立していて、それぞれの領主が争いを続けていて。
周りの大国(ドイツやフランス、スペイン)が虎視眈々と狙う美味な果実だったんですよね。
(ローマ法王の権威だけでも十分美味しいもんね)
そんなイタリアを統一するという野望を持った男。それが主人公のチェーザレなのです。
史実通り、彼は意志半ばで死んでしまうのですが・・・
この人物を取り上げている他の作者の本では、大方、彼は冷酷で無慈悲で汚い手段を使って
のし上がった男として、非難めいて書かれているんですよ。
なので、最後のシーンも「それみたことか」と鬼の首でもとったみたいに書かれていたりしてる。
けど、この人の書いたラストシーンは、全く違っていました。
愛情以外のなにものでもないあたたかなラスト。
冷徹とも取れる静かな文章でありながら、見守るようなあたたかさがある。

私も、この主人公は、なぜか小学生の頃から知っていて、
そして当時からとても好きな人物だったので・・・
こんなラストをこの主人公に与えてくれたこの本がダイスキなのです。