私と小鳥と鈴と
金子みすゞ
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を早くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
最後の「みんなちがって、みんないい」のところ
鈴と小鳥と私。
できること、できないこと、
ならべておいて、
最後にちがっていいんだよって、それが自然なんだよって、
なにか、心のどこかにポッと灯りを灯してくれる。
読むたびに、そんな想いがしてならない。
悲しいけれどそうじゃないよ、
うれしいけれどそうじゃないよ、
でも、それでいいんだよ。
短い詞の行間に作者の暖かい思いがにじみ出てくる。