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東京裁判をめぐる本のいくつか 1-2

2018年07月11日 | 戦後秘史・日本占領期

     ▲ 東京裁判をめぐる本のいくつか 1-2

 

東京裁判をめぐる本のいくつか その1-2

 

東京裁判をめぐる本のいくつか その1-2

 

▲東京裁判及びその前後の書籍・雑誌

東京裁判をめぐる本の出版は、1952年に連合軍の占領を脱した1952年に本格的に始まると見てよいのだろうか。占領下の占領政策、言論規制もあり、(名目上)占領軍の去った後、それなりの言論が解禁された。

独立国家(日本)の首都に横田ほか、米軍基地があり、首都上空の管制権を握る体制は、占領体制とどう違うのか私にはわかりかねるが・・・・・・

 

最初は、戦後日本、それも占領期の日本の本を中心に買い出した頃、それはもうずいぶん前のことになってしまったのだが、古本屋の棚を雑誌コーナーにまで手を伸ばし、薄い冊子様の雑誌『歴史評論』誌の「東京裁判」特集が目にとまって、買い求めたのが、東京裁判についての最初の本かも知れない。思想の科学の研究会が戦後占領史の本を出版している中にも、東京裁判についての論説があった。ゆきあたりばったりの本の収集なので、計画的なものではないが、1989年に青木書店から出版された『東京裁判ハンドブック』を入手して読んでからは、いつか系統的に読んでみたいと思っていた。

以下私が目に触れた、極めて不満があるが、かといって網羅的蒐集癖を敢行するほどの努力の跡もない記録だ。

               ・

               ・

1948 9月 『歴史評論』17号「「特集 東京裁判」 歴史評論社 

 

 ▲ 1948 9月 『歴史評論』17号「「特集 東京裁判」 歴史評論社 

東京裁判特集の論文は

井上 清    「法の理論と歴史の論理」 (1-13頁)

戒能通孝    「戦争裁判の法律理論」  (14-24頁)

具島兼三郎   「東京裁判の歴史的意義」 (25-32頁)

 

 ▲『世界』1949 第42号   昭和24年6月 岩波書店

田畑茂三郎    「東京裁判の法理」        (12-20頁)

W・コステロ   「戦争は果たして追放されたか」  (21-24頁)

恒藤 恭     「戦争放棄の問題(下)      (25-32頁)

 

1962 清瀬一郎 『秘録 東京裁判』 初版は読売新聞社 のち1986年 中央公論社 中公文庫に収録

▲  清瀬一郎 『秘録 東京裁判』 1986年 中公文庫

 

 

1983年 5月 朝日新聞東京裁判記者団 『東京裁判』 上下 「「検事篇」「弁論・判決篇」

 

  

▲ 1983年 5月 朝日新聞東京裁判記者団 『東京裁判』 上下 「「検事篇」「弁論・判決篇」

原著は東京裁判刊行会 『東京裁判』1961年 全3巻 

上の2巻本は梗概はわかるが、裁判・判決の資料部分の内容は3巻版にあたる方がいいようだ。買い直しが必要になってしまった。

 

▼1984年 2月 東京裁判研究会 『共同研究 パル判決書』 講談社学術文庫

  

 ▲ 1984年 2月 東京裁判研究会 『共同研究 パル判決書』 講談社学術文庫

 

1989 4月 赤澤史朗 『東京裁判』 岩波書店 

 

 ▲赤澤史朗 『東京裁判』 岩波書店

全64頁の冊子だが、下の内容目次の通り、押さえるところはきちんと記述している。

最近東京裁判に関する本には、右傾化が酷く、パール判事を私的に悪用して日本軍国主義を免罪する論調の本が多い。下の『東京裁判ハンドブック』と上の赤澤史朗 『東京裁判』 岩波書店 が情報を俯瞰するのに役立つ。と思う。

 

 

 

 ▲赤澤史朗 『東京裁判』 内容

 

 

1989年 8月 東京裁判ハンドブック編集委員会編 『東京裁判ハンドブック』 青木書店 

 

▲ 1989年 8月 東京裁判ハンドブック編集委員会編 『東京裁判ハンドブック』 青木書店 定価3090円

東京裁判を俯瞰するには、よくまとまった情報が得られる。

▲『東京裁判ハンドブック』目次1

▼『東京裁判ハンドブック』目次2

 ▲『東京裁判ハンドブック』目次2

 ▼『東京裁判ハンドブック』目次3

▲『東京裁判ハンドブック』目次3

 

▼『東京裁判ハンドブック』目次4

 ▲『東京裁判ハンドブック』目次4

 目次4の中の資料が掲載されている。5 として、「俘虜の待遇に関する条約」の抄録、ならびに 附 として「米国政府照会及之ニ対スル帝国政府ノ回答」が掲載されている。

米国に対する回答、即ち、国際俘虜待遇条約に対して日本では批准しないので、俘虜の扱いに対しては、1929年条約に拘束されないが、「日本の権内にある「アメリカ」人たる俘虜に対しては同条の約を準用すべし」と東郷茂徳外務大臣が米国の政府の照会に対して回答している。

「南京事件」をはじめとする、アジア・太平洋戦争(日中戦争・第二次世界大戦)における日本軍の大量の俘虜虐殺事件は、「国際俘虜待遇条約」を認識しながら、占領地においては全く準用していない、二重基準で行われていたことがわかる。

 

2001年  田中正明 『パール判事の日本無罪論』小学館文庫 

 

 ▲2001年  田中正明 『パール判事の日本無罪論』小学館文庫 

この本は、1963年 慧文社から刊行された『パール博士の日本無罪論』に若干の修正を施したと巻末に記されているが、中島岳志 『パール判事』2007年 白水社 によれば。田中正明は1952年太平洋出版社から出した『日本無罪論ー真理の裁き』にあった記述を改訂し、見過ごすことのできないことを指摘しているので、下の中島岳志 『パール判事』2007年 白水社 を参照するべきだろう。

 

▲中島岳志 『パール判事』2007年 白水社

 

 ▲中島岳志 『パール判事』2007年 白水社 目次1

 ▲中島岳志 『パール判事』2007年 白水社 目次2

 

▼ 2011年 2月 中里成章 『パル判事 -インドナショリズムとと東京裁判』 岩波書店 

 ▲ 2011年 中里成章 『パル判事 -インドナショリズムとと東京裁判』 岩波書店 岩波新書

 

▼ 中里成章 『パル判事 -インドナショリズムとと東京裁判』目次1

▲ ▼ 目次

 

 ▲ 中里成章 『パル判事 -インドナショリズムとと東京裁判』目次2

パル判事については、多くの論著があるが、日本の右寄りの論客がアジア太平洋戦争行為の日本無罪説を唱えたという「パル神話」を打ち砕いている。

冷静沈着な、実証史学に基づいた本と言える。

著者は、序章で、

「本書で採用するのは「つまり本書はインタビュー(聞き取り調査)、文書館での公文書や私文書の調査、現地語資料の調査、新聞・雑誌記事の調査などを愚直に積み重ねた結果の報告である。」 中里成章 『パル判事 -インドナショリズムとと東京裁判(12頁)

と言っている。その通り。

ただ、私は、ないものねだりのような気もするが、新大陸発見以後に展開された欧米諸国の植民地支配・帝国による支配とは何だったのか、圧制に対するねじれた印度ナショナリズムの中にも、500年以上にもわたる帝国支配を終わらせたいという希望は終わらせることはできないと思うのだ。

 

 ▼ 2007年 8月 『現代思想』「特集 東京裁判とは何か」 青土社 35-10

 ▲2007 8 『現代思想』  35-10 青土社 「特集東京裁判とは何か」

▼『現代思想』  35-10 青土社 「特集東京裁判とは何か」目次

 

 

 ▲ 2007 8 『現代思想』  35-10 青土社 「特集東京裁判とは何か」目次

 私は、2007年に出版された、この『現代思想』の特集をアメリカのイラク侵略戦争の終結と、サダム・フセイン処刑とともに、怒りの中で読んでいた。「大量破壊兵器」はなかったと国連査察団は認定した。そして、それにも関わらず、アメリカは先制攻撃をし、イラクを徹底的に破壊した。また、この戦争でアメリカは、劣化ウラン弾を偽装して、超小型の威力可変型の核兵器を使用した疑いすらもたれている。

臼杵陽の「東京からバクダットへ 大川周明の東京裁判とフセインのイラク法廷」の論が遠く隔たっていた東京裁判を一挙に思い出させた。

イラク裁判で、サダームの外国人弁護士を務めた国際人権派弁護士、ラムゼイ・クラークは裁判の政治性を指摘し、

「アメリカの傘の下のイラク高等法廷そのものを糾弾する。すなわち、イラクの法廷の設立と運営は、アメリカの政治的意向を実現することを目的としており、法廷は、2003年の米軍のイラク攻撃以来の産物であるので、法廷は合法的でなく、公判そのものが、公平でないのは明白で、その裁定はアメリカとその保護下にある者のための勝者の裁きであろうと断言する」 (102頁)

また、サッダームの弁護団のアメリカ人人権弁護士の一人、カーチス・F・ドブラーは、サッダーム裁判を、

「現代史における最悪の正義の濫用のひとつで、もしニュルンベルクが困難な状況における、勝者の正義であるならば、サッダーム・フセイン・イラク大統領の裁判は、ジョージ・W・ブッシュのイラク侵略という犯罪に基づく勝者の不正義だ」(103頁)

と言ったことを、記憶しながら、東京裁判を読み進めていく必要もあるだろう。

 

 

1978 思想の科学研究会編 『共同研究 日本占領軍 その光と影』 下巻 1978年 現代史出版会 (発行徳間書店)の論考に

 

山田宗睦 「児島襄 『東京裁判論』」 (92ー106頁)

丸山睦男 「清瀬一郎論」       (107ー118頁)

がある。

 

 

 

▼ 1984 『思想』№719 1984年5月 「東京裁判特集」 岩波書店

 

 ▲ 1984 『思想』№719 1984年5月 「東京裁判特集」 岩波書店

 

 ▼ 1989年 『十五年戦争史』の4巻 占領と講和 青木書店

 

1989年 『十五年戦争史』の4巻 占領と講和 青木書店 に、東京裁判に関するまとまった整理

粟屋憲太郎 「東京裁判ー訴追と免責ー」(87-128頁)がある。

 

 ▼ 2002年 7月 太平洋戦争研究会 『図説 東京裁判』 河出書房新社

▲ 太平洋戦争研究会 『図説 東京裁判』 河出書房新社

 

太平洋戦争研究会編、平塚柾緒=著となっている。写真は私が以前に見た図録より格段に向上していて精細で、臨場感がある。

東京裁判の検察の訴因、一覧、裁判官一覧、検察官一覧、日米弁護人一覧、28被告の横顔、開廷後の経過、被告席の概念図、被告訴因一覧、被告たちの平和の罪・通例の戦犯及び人道に対する罪の種類別の判決一覧表、東京裁判関係年表など、152頁でまとめている。ただ、裁判における国家と個人のレベルの価値の弁護、共同謀議に認否祖述解説・要約、ところどころは入るキャプション例えば「真珠湾攻撃はだまし討ちではない」など、正規の戦争行為としての記述があるなど、証拠記録との整合性についてなど、短い記述では、納得できるものとなってはいない。このあたりを留保しながら読む必要があると思う。

 

 

 

つづく

なお、パル判決書は講談社学術文庫版で1500頁以上あり、他の本と合わせ、すぐに紹介とはいかないことが判明したので、

すでに入手していた、シュロモー・サンドの『ユダヤ人の起源 歴史はどのように創作されたのか』 2010年 浩気社 

イラン・パペ の『パレスチナの民族浄化』 2017年 法政大学出版会 を次回からメモ再開した後、「東京裁判」の方に移りたい。

 

 

 

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