JF4CADの運用日誌2.5

アマチュア無線局JF4CADの活動内容紹介ブログです。

このアンテナは飛ぶの?②

2015-08-29 | JF4CAD技研
トラップ式GPについて掘り下げてみましたが、今度は枝分かれ式のアンテナについて掘り下げてみましょう。

枝分かれタイプのアンテナはモービルホイップに多く、これにラジアルを付けてGPにした製品も販売されています。業界初の可倒式GPを謳う製品(実体はモービルホイップにラジアルを付けただけですが)に注目している局も少なくないようです。


このアンテナの動作原理を図にしました。

簡単にするために7/21MHzの2バンドとしていますが3バンド以上でも原理は同じです。見て頂ければ分かりますが、途中からエレメントが枝分かれしています。エレメントの途中には短縮コイルがあり、電気的長さを1/4λに合わせるようになっています。この例ですと緑の矢印で示した部分が7MHzとして動作し、赤の矢印で示した部分が21MHzとして動作します。

このアンテナに21MHzの電力を供給した場合、7MHzの部分のインピーダンスは21MHz部分のインピーダンスに比べると非常に高くなります。電波は共振している(インピーダンスの低い)エレメントから放射されますから切り替え装置が不要で動作します。

枝分かれさせることで波長の短い周波数でもトラップで途中までしか使われないといったことがありません。これがトラップ型との違いです。


これだけ聞いたらトラップ型より効率がよさそうと思えますが、実際そうはゆかないのが現実です。モービルホイップとして使うなら法令や駐車場などの車高制限もあってエレメントを長く取れません。いくら長く取っても2.5m前後が限界です。これは28MHz帯ではフルサイズですが、他のバンドでは寸足らずで短縮コイルが必須となります。周波数が低くなるにつれ短縮率が高くなり効率よく飛ばすことができなくなります。

しかも仮にフルサイズであったとしても1/4λですからゲインは0dBiです。短縮すればマイナスのゲインになることは明らかです。

エレメントの全長が2.5m前後であるならば結局のところトラップ式GPとどっこいどっこいの性能しか得られない「飛ばない、聞こえない」アンテナになってしまいます。しかも切替が不要とはいえエレメント同士が相互に干渉する場合もあり、設置環境によってはSWRが十分に落ちなかったり使える帯域が狭いこともあります。微妙なバランスの上に立っているアンテナだと言えます。


144や430MHzでは波長が短いために2.5mもあればゲインのあるホイップやGPを作ることができる一方、波長の長いHFではそう簡単にはゆかないというのが結論です。V/Uで言えば長さ10~15cm前後のハンディ機用ホイップみたいなものと思って頂ければいいのではないかと思います。
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