ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――

読書、英語、etc. jesterの気ままなおしゃべりです。(映画は「JUNeK-CINEMA」に引っ越しました。)

追悼 茨木のり子さん

2006-02-27 | 読書
前に10月31日の記事で書いた茨木のり子さんが亡くなりました。

一人暮らしで、たずねてきた親戚の方が発見されたそうです。
79歳。



孤独な死は寂しかったろうか。

のり子さんのことだから、
飄々と一人去っていった気がする。

「一人でいるとき淋しいやつが 二人寄ったら なお淋しい」
 なんて嘯いてる気がする。



ご冥福をこころよりお祈りします。




  どこかに美しい村はないか
 
  一日の仕事の終わりには1杯の黒麦酒

  鍬を立てかけ 籠を置き

  男も女も大きなジョッキをかたむける



  どこかに美しい街はないか

  食べられる実をつけた街路樹が

  どこまでも続き すみれいろした夕暮れは

  若者のやさしいさざめきで満ち満ちる



  どこかに美しい人と人との力はないか

  同じ時代をともに生きる

  したしさとおかしさとそうして怒りが

  鋭い力となって たちあらわれる







おんなのことばおんなのことば
 より 『六月』 by 茨木のり子