見もの・読みもの日記

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愛すべき外国人学生たち/日本人の知らない日本語(蛇蔵&海野凪子)

2011-05-31 22:42:52 | 読んだもの(書籍)
○蛇蔵、海野凪子『日本人の知らない日本語』[1]-2 メディアファクトリー 2009.2-2010.2

 駅前の書店で、時間つぶしに読み始めたら、思いのほか面白かった。八割方は立ち読みしてしまったというのに、置いて帰るのが惜しくて、買ってしまった(2巻とも)。外国人に日本語を教える日本語教師の凪子さんの原案を、イラストレーターの蛇蔵さんがマンガにしたもの。あ~ありそうな話だけど、ほんとにあるんだ!というような、楽しいエピソードにあふれている。

 任侠映画マニアのフランス人マダムと、時代劇ファンのスウェーデン人女性は、いくら先生に止められても、ヤクザことばと武士ことばで会話するのが大好き。あるある。私も中国の武侠ドラマが大好きで、むかし習った教科書の中国語は出てこないのに、ドラマの言い回しなら頭に浮かぶことがある。いや、これは違うよな…と思って、口には出さないけど。

 爆笑したのは、中国人はビジネスレターもラブレターも美文調で書くという話。これはすごいな。四六駢儷体の伝統って、百年やそこらの近代化では抜けないのか。でも、この回の凪子先生のコメントに「昔は日本でも公用文を美文調で飾っていましたが、今はやりませんので(旧日本軍の電文など)」とあるのが気になる。

 日本製マンガやアニメの浸透は、昔はなかったタイプの「間違い」を生むことも。「この道を行け。さすればコンビニに出会えるであろう」って「荘厳なお告げ」にも爆笑した。なるほど、ゲームで覚えた日本語なら、そうなる。あと、マンガは漢字に作者オリジナルのヨミが振ってあることが多くて、混乱のもとになることも。「敵」と書いて「とも」と読ませるとか…。凪子先生ではないけれど、どんなマンガか、想像がついてしまうところが可笑しい。本書の面白さのひとつは、この「そこで間違うか!」という、目からウロコの新鮮な驚きである。もちろん、昔からある言い間違い、「ネクタイ」と「肉体」、「筋肉」と「ニンニク」を間違えるようなエピソードも紹介されている。こういうのは、ある意味「日本語の伝統」だなあ、と思う。

 日本語と日本文化について、超マニアックな質問を天真爛漫に投げかけてくる外国人学生と、明快で誠実な回答を用意する凪子先生のやりとりも面白い。「いただけますか」と「くださいませんか」の違い。カタカナの歴史。漢字の読み方が多い理由。「お」と「ご」の使い分け。皆さん、知っていましたか。私はいちおう国文科出身なので、むかし国語学で習った覚えがあるが、内容にウソがないし、マンガを使った説明が、実に分かりやすいことに感心した。「笑って学べるベストセラー」「日本語再発見コミックエッセイ」のキャッチコピーは伊達ではない。でも、そのコピーが逆に鼻持ちならなくて、最近まで本書を手に取る気になれなかったのであるが。

 まあ別に勉強しようと思わなくても、ひとりひとり、現実にモデルがいるとは思えないほどキャラ立ちした学生さんたちの言動は、十分におもしろい。モデルいないのかな? いやいや、凪子先生の愛情あふれる観察眼の成果だと思いたい。

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