見もの・読みもの日記

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国宝、そして末法/雑誌・BRUTUS「国宝」

2017-10-19 21:48:41 | 読んだもの(書籍)
〇雑誌『BRUTUS』2017年10/15号「国宝。」 マガジンハウス 2017.10

 京博の『国宝』展と全面タイアップという感じの誌面である。冒頭に「国宝の基礎知識。」を掲げ、見開きページで解説したあとは、写真いっぱいの国宝紹介。ざっと見たところ、『国宝』展に出陳されない国宝は、取り上げられていないようだ。全て展示期間(1~4期のいずれか、または複数)の注記があり、目立つようにマーカーまで入れてある周到さ。まあ表紙に「京都国立博物館『国宝』展パーフェクトガイド」と目立つように赤丸で表記しているくらいだから、目的が明確で、いいといえばいいのだが。

 国宝紹介の章立ては「盛って足して飾る美学」「古くて新しい縄文の美」「ニッポン女子の1万年」「空海・最澄の仏教革命」「美のタイムカプセル」「『世界』を納めた宝蔵」「美術史の中の応仁の乱」「筆で斬り合う戦国画壇」「帰ってきた雪舟」「天地をも動かす歌の力」である。この見出しを眺めながら、どんな国宝が紹介されているかを推理するのが楽しかった。

 ネタばれになるが、「ニッポン女子の1万年」に薬師寺の『吉祥天像』や『風俗図屏風(彦根屏風)』はともかく、『六道絵(人道不浄相図)』ってどうなの、と苦笑した。「『世界』を納めた宝蔵」が後白河法皇の「蓮華王院宝蔵」であるのは当然だが、「世界」というのはちょっと小さい。むしろ「宇宙(コスモス)」を納めた宝蔵と呼びたい。「応仁の乱」の章に中国美術がまとめて紹介されていたのは、予想できなかった。足利将軍家コレクションに由来するものが多いのだから、よく考えれば納得がいく。「歌の力」に光琳の『燕子花図屏風』が取り上げられているのも納得。業平の和歌の力がなければ、この屏風も生まれなかったかもしれない。

 最後に「中世に現れた、鮮烈な『人間』のイメージ」という章があって、国宝展に出陳される『神護寺三像』に加え、東博の運慶展に出陳される『重源上人坐像』と『無著・世親菩薩像』が紹介されている。美術史的には妥当な取り上げ方だと思うが、運慶展の宣伝(?)がしのびこんでいるのが、不思議な感じがした。

 また、さまざまな人が考える『私のNEXT国宝』も面白い企画。むしろこのテーマで雑誌を1冊つくってくれたら、売れないかもしれないけど、私は買う。山下裕二先生は、やっぱり『日月山水図屏風』ね。ひとり3点ずつ挙げるのだが、藤森照信先生も3番目がこの作品である。藤森先生の1推しは『千古の家(坪川家住宅)』。福井県内にある藁葺き屋根の古民家である。小谷元彦氏の『活人形谷汲観音像』(松本喜三郎作)もいいなあ。熊本市の浄国寺というお寺にあるのか。一度、本物を見てみたい。

 ほかにも『国宝』展を効率よく見るための全点チェックリスト(振り仮名つき)、展示室内の会期別の展示構成、京博から足を延ばせる国宝巡りガイド(お!11月の非公開文化財特別公開で法性寺の千手観音立像が開くのか!)など、ありがたいページが盛りだくさん。

 しかし、そんな中にひっそりと埋もれた「一人称の美術。」という記事。あれ?こんな作品、国宝展に出ていたかしら?とよく見直したら、細見美術館の『末法/Apocalypse-失われた夢石庵コレクションを求めて-』(2017年10月17日~12月24日)の特集だった。この数日、急にSNSなどで騒がれ出した展覧会である。記事はあまり読まずに、まず見てこようと思っている。

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