見もの・読みもの日記

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安土散策:見寺(安土城跡)で曽我蕭白の屏風を見る

2011-02-16 22:58:06 | 行ったもの(美術館・見仏)
 安土城考古博物館の帰り、少し周辺の史跡を歩いていくことにする。線路をくぐって安土城跡に抜ける近道が通行止めだったので、いったん駅の近くまで戻って大回り。安土駅から安土城跡に向かう間に、信長時代のセミナリヨ(神学校)跡があるらしいので、曖昧な観光地図をたよりに、当たりをつけた細道を入っていくと、あった。



 Wikiによれば、安土のセミナリヨ(神学校)は純和風建築三階建てで、客をもてなすための茶室も付属していたという。葉の落ちた桜の枝越しに安土城を望むことができる。ただし、ここはあくまで推定地で、まだ発掘もされておらず、遺構も見つかっていないとのこと。

 安土城跡は、山上まで登ると大変そうなので、とりあえず山裾の羽柴秀吉邸跡だけ見て行こうと思い、大手道の登り口に行ってみると、木戸が設けられている。え!有料なのか、と初めて知り、しかも、現在、城内(徳川家康邸跡)にある見寺(総見寺)では織田信長公の木像を特別公開中で、抹茶接待付きセット券が1,000円だという。券売機で買えるのは、セット券しかない。高い~。なんだこのボッタクリ商売は!と腹を立てる。

 セット券を買ってしまったので、予定外の見寺に立ち寄って、お茶を飲んでいく。福々しい信長公の木像は、どうというほどのものでもなかった。しかしながら、最初の部屋にあった伊藤龍涯筆『石曳の信長』(昭和5年=1930年、帝展入選)は、なかなか良かった。歴史画を得意とした画家らしい。ほかにも本堂には、近代の日本画家による襖絵、屏風が立てめぐらされている。問題は、信長公の木像が祀られた仏間の向かい、縁先の目隠しに立てられた六曲一双の古ぼけた屏風。まわりの美麗な近代作品からは、明らかに扱いが落ちる。何の説明書きもないし、そもそも、あまりに狭いスペースに押し込められていて、畳みっぱなしに近い。中の画面は、申し訳に見える程度。でも覗き込むと、気になる筆致。え、これ、蕭白じゃないの?

 いや、絶対にそうだ。押絵貼屏風というのだろうか、右端の蝦蟇仙人(たぶん)をはじめとして、仙人やら羅漢やらが六曲一双の12面それぞれに描かれている。仏間に「この部屋は撮影禁止」の札が掛っているのだから、この屏風は写真に撮ってもいいということか…と思いながら、つい自重して、落款部分を撮っておくにとどめた。(右:拡大)



 うちに帰って、2005年の京博の蕭白展の図録を見たが、見寺の作品は載っていない。でも「曽我左近二郎暉雄蕭白」は、確かに蕭白が使った署名で、小さな方印(方形円郭印)は「如鬼」、その下の円印は「蕭白」であることを確認した。ご住職さん、大事にしてね。

 抹茶セットはこんな感じ。冷えた身体が温まって嬉しかった。



 昼過ぎ、安土を離れ、石山寺と三井寺でご朱印をいただく。西国巡礼2巡目は、なかなか進まないけど、頑張ろう。

 夜は再び京都の友人と落ち合って、中華料理。

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