見もの・読みもの日記

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余白と遠近法/円山応挙 空間の創造(三井記念美術館)

2010-10-21 23:09:09 | 行ったもの(美術館・見仏)
三井記念美術館 特別展『円山応挙 空間の創造』(2010年10月9日~11月28日)

 余白を活かし、絵画という平面に奥行きのある立体的な世界を描き出した応挙の特質に注目する展覧会。前半では、応挙が若き日に描いた眼鏡絵を紹介。眼鏡絵とは、遠近法によって描かれた風景画で、「のぞき眼鏡」を通して見ると、より立体的に見える。応挙は多数の眼鏡絵の習作を通して、空間を描く技術を習得したと考えられる。むかし、新・日曜美術館で、実際に応挙の眼鏡絵を「のぞき眼鏡」を使って体験してみるという企画があった。今回は、そうしたお試しコーナーがなかったのが残念。

 後半は、いよいよ障壁画による大画面が勢ぞろい。見覚えのある、好きな作品が多くて嬉しかった。草堂寺の『雪梅図』は、2006年、奈良県美の『応挙と蘆雪』の前期で見た。『雲龍図屏風』は、同展の後期で見たものだと思う。どちらも、いかにも「よくある日本画」の題材なのに、どうしてこんなに印象に残るんだろう。

 『松に孔雀図襖』を有する大乗寺(兵庫県美方郡香美町)には、一度だけ行ったことがある。応挙の襖を全て外して保存することが決まって話題になっていたときで、まだ客殿には、本物の応挙筆の襖が嵌っていた。お願いしたら、2階の蘆雪と源も見せてもらったのが、いい思い出。現在は「円山派デジタルミュージアム」というサイトが公開されていて、障壁画の構成を立体的に体験することができる。画像の拡大も可で、非常によくできたサイトである。

 とは言え、細部の迫力は、やはり現物がまさる。応挙は、屏風・襖絵などの「遠見の絵」は、離れて眺めたときに効果があるように描かなければならない、ともっともなことを述べているが、私は、つい「遠見の絵」ににじり寄って細部の筆勢や墨の色を確かめたくなってしまう。これって、嫌な鑑賞者だろうか。

 どうやら初見らしかったのは『雨竹風竹図屏風』(円光寺蔵)。これはいいなあ。なんとなく等伯の『松林図屏風』の応挙流”換骨奪胎”版ではないかという気がした。天も地も分かぬ空白の中に、多量の水分を感じさせる墨色の竹が、すっくりと立っている。眺めていると、ああ、確かに日本人って、こういうふうに風景を見ているなあと思えてくる。湿度の高い日本では、だいたい遠景は水蒸気に霞んで定かでないのが「実景」なのだ。よく見ると、背景の空白に、うっすらと何本もの縦線が引いてあって、竹林の奥行きを表している。『竹雀図屏風』はその変奏版みたいな感じで、群れ飛ぶ雀の羽風に細い竹が弄られている。

 アルカンシエール美術財団(原美術館のこと?)から出品の『淀川両岸画巻』は、途中から川の左右の風景を上下逆に(すなわち川の中央から見たままに)描いた、実験的な作品。これはケースを展示室の中央に置いて、上下から見せてほしかった。

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