見もの・読みもの日記

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古くて美しいもの/2019東美アートフェア

2019-10-07 23:28:24 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京美術倶楽部 『2019東美アートフェア』(2019年10月4~6日)

 週末、美術商の展示会である東美アートフェアを久しぶりに覗きに行った。あれ?今年は3年に一度の『東美特別展』の年じゃなかったかな?と思ったが、裏事情はよく分からない。この展示会は、ひところお客が増えすぎて混雑がひどかったが、少し雰囲気が落ち着いたように感じた。気になったブースをメモそておく。

 4階。ブースには、多様な美術品を並べる店と、テーマを絞る店がある。4階では那須屋の川上不白特集や岸本画廊の小泉淳作特集が魅力的だった。田島美術店は、河井寛次郎、浜田庄司など民藝運動周辺の陶芸作品を展示。近代陶芸は、これまであまり気にしていなかったのだが、ほかのお店でもけっこう見た。根強い人気があるのだな。藤井香雲堂は宮川香山の真葛焼を扱っていて、蓮に翡翠(かわせみ)の立体小皿が素晴らしく愛らしくて見とれた。玄海楼は日本古典文学の素養を試されるような古筆の名品が並ぶ。「古筆」に「古代仮名」という中国語表記が添えてあるのが面白かった。単品では、西楽堂にあった仙厓筆の松尾大明神像が可愛かった。

 3階。池内美術に「藤房本三十六歌仙絵」の源重之像があった。毛利家伝来。藤房本というのは、万里小路藤房(1291-1375)を筆者とする歌仙絵らしい。像主は丸顔で、膝の上に笏を立てて顎を載せている。歌仙らしくなくて面白かった。去来はいつも印象的なブースで、木造仏、テラコッタ、縄文土器、鏃などを季節の草花と組み合わせて、瀟洒に仕上げていた。小西大閑堂にも平安時代の木造仏3躯。

 個人的に今年いちばん来てよかった!と思ったのは浦上蒼穹堂で、遼のやきものを大特集。遼三彩の皿(裏側は無釉であることを確認)、鳳凰のアタマのついた緑釉瓶、褐釉の皮嚢壺(皮袋のかたち)が多数。 驚いたのは布製のブーツ(左右揃い)と帽子。鳳凰文が刺繍されている。汚れて茶ばんでいるが、本来は白色だった様子。ブーツは綿入りなのか(?)厚みがあってフカフカしていそう。これ遼代(10-12世紀)のものなのか? 超一級の考古資料だと思うのだが、ガラスケースなしの展示(さすがに触らないよう注意書あり)で呆れるやら興奮するやら。

 尚雅堂には、古代中国の小さな俑が各種。灰陶加彩の六朝のラクダとか騎馬人物とか武官とか。唐のふっくらした婦人俑は、目の下から頬にかけて濃い紅色がはっきり残っていて「これが当時の化粧法に基づくもとの彩色なんですよ。残っているのは珍しいの」と店員の女性の方に教えてもらった。古美術宮下には光琳の団扇図。木賊と撫子だったかな。

 1階。祥雲というお店に紺紙金銀交書のむちゃくちゃ美しい古経切があったのだが、題目の「道神足無極変化経」という名前に心当たりがなく、本文に「月天子」が出てきたり、なんだか怪しい経典だなあと思ったら、神護寺経のひとつだった。二月堂焼経や平安時代の僧形八幡神像もこのお店だったかしら。眼福。お店を忘れたが、根来の足つき盤、七言絶句を線刻した陶枕など、私がお金持ちだったら欲しいと思った。


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