見もの・読みもの日記

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説明は抜き?/演劇博物館80周年記念名品展

2008-10-24 22:32:43 | 行ったもの(美術館・見仏)
○早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 『演劇博物館80周年記念名品展』

http://www.waseda.jp/enpaku/index.html

 80周年!?と、目を疑ったが、早大演劇博物館の設立は意外と古い(知らなかった)。昭和3年(1928)10月、坪内逍遙博士の古希の齢(70歳)に設立され、この秋、80周年を迎えた。その長い歴史の中から、選び抜いたコレクションを公開する名品展が開かれている。

 紙資料から舞台衣装、スチール写真までさまざまで、何に反応するかは、趣味によって異なるだろう。美術好きなら、近世初期の板絵(もとは絵馬だという)『男舞の図』か。若衆の代表芸であった「大小の舞」を描いたもの。ボリュームのある衣装が美しい。横長の彩色絵本『風流踊図』も面白かった。

 私はやっぱり、文献資料に関心が向く。役者評判記、役割番付、絵入狂言本、長唄正本など。ただ、展示キャプションが素っ気ないので、これは近世の初期かな中期かな、という刊行年代がよく分からない。詳しくは『名品図録』(2,000円)を買えということか。会場に1冊くらい、置いておいてくれてもいいのに。昭和4年受入の西鶴『難波土産』には「饗庭文庫」の印が押されている。坪内逍遙と交友のあった饗庭篁村の旧蔵書かなあ、と思ったが、全然違うのかもしれない。昭和43年受入の「長尾蔵書」、2002年寄贈の「千葉とし子氏」って誰なのかなあ。

 上山草人(かみやまそうじん)という明治生まれの俳優の名前は、初めて知った。早大中退、坪内逍遙の文芸協会に所属する新劇俳優だったが、渡米して創成期のハリウッドで「神秘的な東洋人」の役柄で活躍したという。こけた頬、弁髪姿の似合うスチール写真が残っている。

 企画展示室以外は、常設展示に名品をプラスする構成になっている。「近世演劇」で、ハッとした。2006年に亡くなられた文楽の吉田玉男さんが着用した裃が飾られていたのだ。まだ博物館入りするには記憶が新しすぎて、ちょっと辛い。『国性爺合戦』の正本(?)に「岡鹿之助氏寄贈」とあって、え、画家の?と不思議に思ったが、調べてみたら、鹿之助の父・岡鬼太郎は演劇評論家だそうだ。

 戦後の占領期にGHQが検閲した演劇台本のコレクションもあった。浪曲とか三味線道中とかの、手書きの粗悪な台本に、英語のサインとスタンプが施してある。GHQのオフィサーは、中身は読めたのだろうか。ほかにも、ストリップ、コメディーから、民俗芸能まで、目配りが広くて飽きないが、もう少し丁寧な展示キャプションがあってもいいのでは?

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