見もの・読みもの日記

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色とかたちの国際性/唐三彩(出光美術館)

2019-07-07 21:32:52 | 行ったもの(美術館・見仏)

出光美術館 『唐三彩-シルクロードの至宝』(2019年6月22日~8月25日)

 コレクション展だし、たぶん見たことのあるものばかりだろうから、あまり期待していなかった。そうしたら、意外と目新しい展示品が多くて面白かった。唐三彩は、有力貴族の墳墓に埋納する陶器(明器)の装飾として有名だが、会場では、まず三彩以前の明器を紹介する。後漢時代の褐釉犬、緑褐釉の馬と御者、隋時代の褐釉緑彩の牛車と御者、緑釉騎駝人物など、生気にあふれた素朴な造形がとても面白い。

 そして唐三彩の登場。女子俑はどれもおしゃれで愛らしい。肩にストール、ウェスト位置の高いスカート、高く結い上げた髪。唐代のファッションは、ほかの時代と比べてどこか異質な感じがする。男装の女子俑も多い。一段低くなったスペースの展示ケースに騎馬人物の三彩俑が並んでいたが、スカート姿の女子が三体。髪型は頭(双髷)なのに男性ふうの長いコート姿の女子もいた。

 唐三彩の器には、シルクロードを通してもたらされた斬新な器形や文様が大きな影響を与えている。ということで、イランの銀製の水注(5-7世紀)や東地中海地域のガラスの水注と唐三彩の水注が並べてある。西アジアにリュトンという角状の盃があることは知っていたが、唐代の『緑褐釉獣首飾八角盃』は初めて知った。だいぶ原型が崩れているがかわいい。並んでいたトルコの『彩文獅子頭付リュトン』もカワウソみたいだったけど。

 唐三彩は主に長安、洛陽周辺でつくられており、地方での作例は少ないそうだ。中国文化の地域多様性をあらためて認識する。私は、緑釉・褐釉を自然な流れに任せて、白釉で斑点を散らすスタイルの三彩が好きだが、緑釉・褐釉で塗り固めたような三彩合子、三彩薫炉もきれいだと思った。ミニチュア明器のセクションに展示されていた三彩猿笛も面白かった。復元品を売っていたら必ず買う。

 唐王朝の衰退後、契丹族の遼では遼三彩が流行した。ただし唐三彩との影響関係は明らかでないそうだ。驚いたのは、三彩人魚形水柱。見たことのない造形で、確かに下半身が魚のかたちをしている。背中に取っ手と水の注入口があり、胸元の鳳凰の嘴が注ぎ口になっていると解説にあった。イランにもペルシア三彩と呼ばれる陶器があるということだが、三彩の概念をどこまで広げていいのか、ちょっと悩む。

 さらに後世の「三彩スタイル」として、金代の三彩、清代の景徳鎮窯あるいは広東窯系の三彩皿などを紹介。日本の源内焼、長与焼(長崎県)も。古九谷は入らないんだろうか。色味は似てると思うのに。


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