見もの・読みもの日記

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アイスショー"Fantasy on Ice 2018 静岡" 3日目

2018-07-12 21:46:01 | 行ったもの2(講演・公演)
Fantasy on Ice 2018 in 静岡(2018年7月1日 13:00~)

 かなり遅ればせのレポートだが、アイスショーFaOI(ファンタジー・オン・アイス)静岡公演の3日目、つまり今期公演の千秋楽を見てきた。静岡公演は2015年にも行われているが、私は初遠征である。会場のエコパアリーナは、東海道本線の愛野(あいの)が最寄り駅。どこ?と思ったら、掛川と浜松の間にあった。はじめ東京から日帰りの予定だったが、静岡・名古屋在住の友人の誘いがあって、前日は浜松で落ち合って飲むことにし、駅前のビジネスホテルに泊まった。

 当日は浜松スタートで愛野へ移動。小さなローカル駅であることは、SNSの事前情報で承知だったので驚かない。お昼ごはんは浜松で仕入れ済み。1つしかない窓口に並んで帰りの新幹線の切符(自由席)も買っておく。駅前からエコパアリーナのある小笠山総合運動公園に向かっては、ゆるやかな坂道を15分ほど登る。私は歩くことにしたが、タクシー乗り場に長い行列ができていたのは、年齢層高めの(かつ財布に余裕のある)女性が多いせいかもしれない。広い道の左右には、緑の山並みを背景に規模の大きいマンションが建ち並び、掛川や浜松へ通勤する人のベッドタウンなのだろうと考える。

 かなり余裕をもって到着してしまったが、運動公園には日陰の逃げ場がないので、立ち往生する。エコパアリーナが早めに開場して、涼しいロビーに入れてくれたのはありがたかった。席は西側ロングサイド中段・中央くらいのS席。座席は固定・背もたれつきで安定感があり、傾斜が大きいので、前列の人の頭がほとんど邪魔にならない。隣りになった女性は「新潟会場(傾斜が小さい)はストレスが大きかったので大違い!」と絶賛していたが、その分、リンクが遠い感じはする。

 出演スケーターは、幕張(5/27)との差分だけメモしておくと、宮原知子、ミーシャ・ジー、メドベージェワがOUT。三原舞依、デニス・バシリエフス、キャンデロロ、ポゴリラヤ、ペアのアリョーナ・サブチェンコ/ブルーノ・マッソーがIN。ゲストアーティストは、岸谷香さん、藤澤ノリマサさん、清塚信也さんに代わった。オープニングの衣装はマルチカラーのシャツ(男子)とワンピース(女子)で、夏らしくエスニックな雰囲気。エンディングはラメ入りキラキラTシャツ(各人各色)。女子は下がデニムの短パンで可愛かった。

 プルシェンコは「タンゴアモーレ」と「ニジンスキー」で変わらず。「タンゴアモーレ」は耳に残るなあ。2週間以上経っても、つい鼻歌に出てきそうになる。キャンデロロは「三銃士」で46歳でもバックフリップ(後方宙返り)を跳ぶ。演技後、リンク外の通訳さん?を手招きして何か言ってると思ったら「トリプルルッツを失敗したのでもう1回!」と要求して跳びなおしてみせた。ジョニー・ウィアは白衣装の「クリープ」と、藤澤ノリマサさんとのコラボで「川の流れのように」。これ、曲の解釈が素晴らしくて、何の違和感もなかった。美空ひばりに見せたかったなあ! ポゴリラヤは「フリーダ」を妖艶に、「夢やぶれて」(I Dreamed a Dream)は切々と。

 織田信成くんのジュリー「勝手にしやがれ」は最高! 高い技術力で真面目に冗談に取り組むカッコよさ!! プルシェンコにもキャンデロロにも負けない盛り上がりで、これは後々まで伝説のプログラムになると思う。羽生結弦くんの「春よ、来い」は、強い「祈り」が感じられて、何か宗教的な舞踊を見るような感じ。厳かで、やわらかで、美しかった。彼の指先が触れる氷から、春の花が咲きこぼれるのをみんなが幻視していたと思う。最後に何かを両手で掬い上げて、ぱっと投げ上げると、キラキラと光の粒が宙に舞った。単に氷のかけらなのだろうけど、世界が魔法にかけられたと思った。

 羽生くんのプログラム以上に印象的だったのは、ステファン・ランビエルとデニス・バシリエフス。それぞれソロもよかったが、後半に二人のデュエットプロがあった。曲は「ノクターン」(ショパンの13番)。男子スケーターが二人で滑るなんて、アイスショーならではの着想。芸術性に優れた師弟二人が創り出す美しい空間に圧倒された。加えて、リンクを暗めに抑え、演者をスポットライトで追っていく照明がとてもよかった。はじめはランビエルがソロで滑り出し、気が付くと暗闇の中、いつの間にか近くにデニスくんが来ているのである。交代してデニスくんのパートになると、ランビエルは暗闇に消えて、しばらくステージ前に立ちつくしている。それから、おもむろに光の中に滑り出て、デュエットパートで終わる。YouTubeに神戸公演と静岡公演のビデオが上がっているが、静岡公演の完成度の高さに驚く。やっぱり千秋楽に来て正解だった! このプログラム、またいつか見られるかもしれないけど、年齢とか技術レベルとか、今の二人の関係性が変われば、きっと別物になると思う。一期一会の演技を見ることができて、本当によかった。

 フィナーレは岸谷香さんの「ダイヤモンド」で盛り上がったけど、手拍子がいまいち揃わなかった(裏拍がとれない)のはご愛敬。ジャンプやスピンの一芸大会を終えて、スケーターのみなさんが一人ずつ退場し、最後に羽生くんだけが残る。期せずして会場のあちこちから「おめでとう」「おめでとう!」の声と拍手(国民栄誉賞に対して)。まっすぐ顔を上げた羽生くんがマイクなしの大きな声で「来シーズンも頑張ります!」と宣言し、みんなで「ありがとうございました!」を言い合って終わり。今年も夢の時間が終わってしまった。

 そのあと、愛野→掛川→新幹線こだまで帰宅。大集団の一斉移動だったので、掛川でこだまに座れないんじゃないかとひやひやした。終演時間が少し延びてしまったのは、トイレ不足で途中の休憩時間が延びてしまったせいもある。次回は、はじめから隣りのスタジアムのトイレを目指すことにしよう。
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