「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

秘密兵器

2014年02月04日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

今回の一連の試聴会では3日間で延べ5名のオーディオ仲間に我が家のシステムを聴いていただいたが、細かいニュアンスの差があるとはいえ、大筋では5名ともほぼ同様の音質評価に落ち着いたのは実を言うと意外だった。

「人間の耳は百人百様とはいいながら、音に対する感受性はそれほど変わりはない」というのは新しい発見。第一、それほどオーディオには熱心でない80歳近くのY先生が的確な判断を示されたのには少々驚いた。

「先生、我が家のシステムをひととおり聴いていただいたのですが、順番をつけるとしたらいかがでしょう?」

この、ぶしつけな質問に対して(前回のブログでも紹介したように)Y先生が即座に回答されたのがこの順番で、他の4名の方々も同様のご判断だったがほんとうに恐れ入りました(笑)。

第1位 「オリジナル・エンクロージャー入りのAXIOM80」(PX25真空管アンプ使用)

第2位 「自作エンクロージャー入りのAXIOM80」(WE300B真空管アンプ使用)

第3位 「JBL3ウェイ・マルチ・システム」

ただし、第2位のシステムを出力管WE300B(オールド)で駆動したときは、1位と2位は「入れ替え」の可能性が大いにある。スピーカーを生かすも殺すもアンプ次第なのはマニアならご承知のとおり。

なお、
WE300B(1988年製)の持ち主としてはオールドとの差をできるだけ少なくして有効活用したいのは山々なので、何とか実力をフルに引き出そうと、去る土曜日(2月1日)から日曜日にかけてこのアンプの定格に見合った整流管を引っ張り出していろいろテストしてみた。

整流管とは電気回路の中で交流を直流に代える役目を果しており音質とは直接関係のない、いわば脇役のような存在だが、この整流管と出力管のマッチング次第で音が千変万化するのは広く知られている。

        

左から順に現在使用中の「WE422A」(傍熱管)に加えて「STCの5R4GY」(直熱管)、「マルコーニの5U4G」(直熱管)、「CV378(太管)」(傍熱管)の計4種類。アンプがモノ×2台なので整流管もペアで2本要る。

これらをとっかえ、ひっかえして相性を探ってみた結果、俗な言い方になるが醸し出す「色気」がまるで違う。WE300B(1988年製)に一番マッチングしたのは「CV378(太管)」で、逆に悪かったのはSTCの5R4GY。そして、オールドには「WE422A」が一番相性がよかった。いやあ~、実に興味のある実験だった。

真空管アンプの音質は出力トランスの種類や回路などによっても左右されるが、手軽に変更が利くという点では「出力管と整流管」はセットで使い分けを考えたほうが良さそうだ。

したがって、これからは「WE300B(1988年製)=CV378」、「WE300B(オールド)=WE422A」のコンビで使用することに決~めた。

ちなみに、整流管の最高峰とされているのは衆目の一致するところWE274Bである。ここでも相変わらずWE(ウェスタン)が登場する。真空管マニアが最終的に行きつくところは結局「ウェスタン」なのか(笑)。

およそ60年以上も前の1950年代前後に現代の技術を駆使しても及びもつかない真空管の魅惑の世界が既に完成していたことはどうしても認めざるを得ない。

日進月歩で進化するデジタルの世界だが、その一方で既に完成しきった真空管オーディオの世界がはるか昔から厳として存在していたことに、改めてオーディオの「永続性と新風性」の融合を感じる。「不易(ふえき)流行」(芭蕉)という言葉を噛みしめたくなる所以である。


さて、登場するのが遅くなったがタイトルの「秘密兵器」について述べておこう。

もったいぶらずに明かすと、31日の両名のお客さんが目敏く気が付かれたのが両方の「AXIOM80」に使っているSPコードだった。

「こんな細い線をSPコードに使って大丈夫ですか?」異口同音に驚かれた。

            

そりゃそうだろう、わずか直径0.6ミリの細い銅線をプラス側に、そしてウェスタン製の単線をマイナス側に使用して両者を軽くねじっている超ユニークなSPコードである。

おそらく全国どんなマニアでもこんなお粗末なコードはきっと使っていないに違いない。この細い銅線を手に入れたのは昨年後半のことで、オークションでサーフィンをやっていたところ、たまたまこういうこういう記事を見かけた。

「1930年代にまで遡る、ドイツ製綿巻単線の出品です。20mずつスプールにされており、KLANGFILMもしくはSIEMENSのロゴが入ったゴワゴワの紙に包まれています。」

それほど高価でもなかったし、一昔前の古い製品にはことのほか弱いので(笑)、騙されたつもりで購入して使ってみたところ、予想以上に良かった。

SPコードは以前はPADのコロッサスなども使ったが、最近はベルデンの安物の撚り線タイプを使っており、これにはまったく不満はなかったものの、今回の「いっちょう試してみるか」の軽い気持ちが功を奏したようで、単線のメリットを明らかに感じた。

「濁りのないスッキリした音」これに尽きる。

ただし、銅線を巻いている綿が薄いのでこれをプラス、マイナスの両方に使うのはちょっと怖い。したがってしっかりした被膜を持つウェスタンの単線をマイナス側に使っている。下記の写真(再掲)のようにエンクロージャーの中までこのコードを使って徹底している。

           

お客さんのN島さん、N松さん、ともども「こんな細い銅線をよく使う気になりましたね。でも実際にこうして“ちゃんとした音”が出ているのだから、説得力がありますよ。自宅でもぜひ試してみたいです。」と感心されていた。

そうなんです。「研究の成果は実験の数によりますよ~」。

まあ、「小保方」女史とは違って理論もへちまも無い、カンと好奇心だけに頼っているのがちょっと怖いところだが
(笑)。
 

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