「音楽&オーディオ」の小部屋

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交響曲第6番「田園」に想う~その1~

2020年07月29日 | 音楽談義

何げなくテレビを観ていたら、ベートーヴェンの「交響曲第6番 田園」が聞こえてきた。

それも第五楽章の嵐が去った後の自然への感謝の部分で管楽器が高らかに謳いあげていく一節。

久しぶりに、耳にして「ああ、いいなあ!」とウットリ。

「龍角散 ”のどすっきり飴”」のBGM(宣伝)だった。


自分の音楽史(大げさだが!)を振り返ってみると、20代の頃はベートーヴェン、30代からは圧倒的にモーツァルトだったが、やはりベートーヴェンもたまに聴くといいですねえ(笑)。

彼の作品を読み解くカギは「苦悩を通じての歓喜」にあるとされているが、ややもすると「音楽は哲学よりもさらに高い啓示だぞ。だから俺の音楽にじっと耳を傾けろ」という押しつけがましさが若干鼻につくことがある。

したがって、歳を取るにつれ敬遠気味だったが「大公トリオ」や「田園」などには、そういう気配が感じられない。


とりわけ「田園」は、自然をこよなく愛したベートーヴェン自らが表題を田園(「パストラル・シンフォニー」)と名づけ「音で描かれた風景画」をイメージとして作曲したものだから曲風も自然そのもの。

ベートーヴェンの代表作の一つであることから愛好家も多く、こうして紹介するのは今更という感じだがやはりこの曲を避けていては自分の音楽史は語れない。

在職中によくスランプに陥ったときにこの曲を聴いて随分開放的な気分に導かれ、癒し効果もあっていわば精神安定剤的な役割を果たしてくれた想い出深い曲目だ。

ベートーヴェンの交響曲の中でやや毛色が変わったこの曲はこれまでの伝統を破って五つの楽章で作られ、各楽章にはそれぞれ内容を暗示する表題がついている。

第一楽章   「田舎に着いたときの晴れやかな気分のめざめ」

第二楽章   「小川のほとりの情景」

第三楽章   「田舎の人たちの楽しいつどい」

第四楽章   「雷雨、嵐」

第五楽章   「牧人の歌~嵐のあとの喜びと感謝の気持ち」

このうち、特に印象的なのは繰り返すようだが嵐が去ったあとの美しい田園風景の描写と嵐を切り抜けた感謝と喜びの讃歌が高らかに歌われていく第五楽章。

人間と人生にとっての大きなテーマである「生、死、愛」
が常に作曲者に内在していないと、こういう音楽はまず創造できないように思う。

現在の自分の手持ちの盤は11セットだが、「龍角散」のCMに大いに刺激されて(笑)久しぶりに試聴してみる気になった。

これほどの名曲とあって、それもシンフォニーともなると弦の厚みとスケール感によって少々の演奏のまずさはカバーしてしまうので、指揮者やオケによってそれほどの差は出にくいように思うが、個人の身勝手な感想なのでどうか聞き流してくださいな。

試聴スピーカーはこういう大編成のオーケストラには一番頼りになる我が家の4兄弟のうちの長男にあたる「ウェストミンスター」(改)。

それでは2日掛かりの試聴でベスト1を選出してみよう。まずは初日の4枚分について。

       

 ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー  録音1953年

 芒洋として盛り上がりに乏しい印象

テンポが遅くて重々しい印象で田園のテーマにそぐわない印象を受ける。フルトヴェングラーのベートーヴェンは定評があるが、こと6番に限ってはそうでもない。やはり風景画的雰囲気とは相性が悪そうで、もっと人間臭くてドロドロしたドラマが合っている気がした。


 オットー・クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団
  録音1957年

 明るい色彩、濃淡のはっきりした油彩画の趣

なかなかの好演で聴かせるものがある。弦楽器をはじめあらゆる楽器が咆哮し、エンジン全開のイメージで進行する。切なさと力強さが程よく交錯しており演奏が終わったあと「なかなかいいねえ!」と思わず言葉が出た。「もったいぶり屋のクレンペラー」には、やはり大編成の曲がふさわしい。ただし、5楽章ではもっと神々しさがあるとさらにいい。


 ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 録音1958年

 自然への感謝を素直に表現した名演

ずっと昔からレコードで聴いてきた盤で、気に入っていたのでCD盤が出ると早速買い直した。滋味あふれ心温まる演奏で音楽の喜びに満ち溢れ、こうして沢山の指揮者に囲まれても少しも遜色のない不滅の光芒を放っている。


 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 ドレスデン・シュタツカペレ
  録音1977年

 淡い色彩による水彩画の趣

すべてにわたって中庸という言葉がピッタリ。とりたてて魅力も感じないかわりにアクも強くなく無難な演奏。当たり外れなしの万人向きというところ。

以下、続く。

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