クラシックの中で一番好きな楽器はヴァイオリンだが、ピアノも嫌いというわけではない。
モーツァルトのピアノソナタ(グールド)を聴いた時間からすると人後に落ちないはずと思っているし、またドビュッシーのピアノ曲も大好きで特に「ミシェル・ベロフ」(フランス)のCD盤は今でも愛聴盤の一つ。
しかし、このベロフさん(1950年生まれ)は残念なことにその後まったくの鳴かず飛ばずである。
前途ある有望な若手のピアニストがいったいどうしたんだろう?
気になってそれとなくアンテナを張っていたところ小耳にはさんだ情報によると「女流ピアニストのアルゲリッチから身も心もすっかり骨抜きにされた」とのことで、エ~ッ(笑)。
お上品なクラシック界にふさわしくない生臭い話だが、噂の真偽を確かめる術もないし、まあどうでもいいことなのだが、つい最近「現代の名演奏家50」を読んでいたらこのベロフの件の「いきさつ」が詳しく書かれていた。
犬も歩けば棒に当たる!
206頁~210頁にかけて詳述されており、手短に要約すると、
「ベロフとアルゲリッチは4年間の同棲生活を解消した。この間、ベロフは肉体的にも精神的にもすっかり疲弊してしまったが、ようやく演奏活動を行えるほどまでに回復した。ただしベロフは今でもアルゲリッチのことを絶賛している」
よかったですねえ、喧嘩別れじゃなくて(笑)。
それにしてもアルゲリッチというのは雰囲気に不潔感が漂っているとでもいうのかな、どうも好きになれないピアニストである。
本書によると、ベロフと知り合った当時は指揮者のデュトワと離婚し、ピアニストのコヴァセヴィッチと暮らして娘を生んだものの破局した後だったそうだ。
つまり特定の男性がいなかったので、ベロフは「飛んで火に入る夏の虫」ならぬ「蜘蛛の巣」によってがんじがらめにされたようだ(笑)。
そして、デュトワの名前がここでも出てくる。この人はその筋ではとかく有名な人なのだ。
画像右側の「クラシックCDの名盤」の180頁にも宇野功芳さん(音楽評論家)がこう書いている。
「デュトワは美人演奏家殺しである。アルゲリッチ、チョン・キョンファをものにし、噂では諏訪内晶子にも子を産ませ、それが彼女のDVの原因にもなったとか」
ほんまかいな(笑)。
クラシック演奏家といっても所詮は人の子で「木の股」から生まれたわけでもないので仕方がないのだろうが、かって、指揮者のブルーノワルターはこんなことを言っていた。
1 恥ずかしいことながら音楽家は概して他の職業に従事している人々に比べて別に少しも善くも悪くもない。
2 音楽に内在する倫理的な呼びかけ(高揚感、感動、恍惚)はほんの束の間の瞬間的な効果を狙っているに過ぎない。それは電流の通じている間は大きな力を持っているが、スイッチを切ってしまえば死んだ一片の鉄に過ぎない「電磁石」のようなものだ。
3 人間の性質にとって音楽が特別に役立つとも思えず過大な期待を寄せるべきではない。なぜなら、人間の道徳的な性質は非常に込み入っており、我々すべての者の内部には善と悪とが分離しがたく混合して存在しているからだ。
まあ、そんなところなんだろうが、「音楽は哲学よりもさらに高い啓示」(ベートーヴェン)というほどなんだから、少しは演奏家にもストイックな姿勢が必要のような気もするが皆様のお考えはいかがですか。