「音楽&オーディオ」の小部屋

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交響曲第6番「田園」に想う~最終回~

2020年07月31日 | 音楽談義

前回からの続きです。

ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」について、残る7枚の試聴結果を記してみよう。

なお、繰り返し述べるようだが、個人の勝手きままな感想ですからどうか気軽に読み流してくださいな。

       
       
            

 ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィルハーモニー  録音1968年頃

 盛り上がりに欠け長く聴いていると飽きがくる

全盛期のウィーン・フィルの弦はやはりいい。オーソドックスだが華麗、きらびやかで音楽に色彩感がある。ただし5楽章が通り一遍で物足りない。もっと敬虔な祈りみたいなものが欲しい。長く聴いているとややマンネリ現象に陥りそうな感じ。

 ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルト・ヘボー  録音1985年

 中間色を多用した印象の薄い絵画の趣

ずっと以前の話だが、ドレスデン・シュターツカペレの第一ヴァイオリン奏者島原早恵女史のウェブサイト「ダイアリー」でハイティンクの指揮ぶりについて書かれていた。

練習で言葉をほとんど発することなく指揮棒だけで団員を納得させるのだという。たしかにこの指揮者の「魔笛」は一級品だったが、この田園になると穏やかすぎて盛り上がりに欠けている印象で、5楽章の嵐の表現には少なからず不満が出てくる。動と静の対比について意見が分かれるところだろう

 ネヴィル・マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団
  録音1985年

 正統派で感動に満ちた田園

ネヴィル・マリナーといえば映画「アマデウス」での音楽を担当していた指揮者だが、この演奏には最初から最後まで襟を正して聴く思いがした。

第5楽章では自然への讃歌が高らかに歌い上げられ、天上から後光がさしてくるようなイメージ。楽団も絶好調で管楽器のうまさが光る。

整然とした演奏ながら品も情緒も申し分なく神々しさも十分。これは一押しの名盤。マリナー会心の出来で演奏が終わった途端に思わず拍手。素晴らしい!

 ヘルベルト・ケーゲル指揮 ドレスデン・フィルハーモニー
  録音1989年

 人生を悲観的に考える人向き

日本公演(サントリーホール)の記念すべきライブ盤。指揮者ケーゲルは東ドイツの熱心な社会主義者だったが、この最後になる公演のときはベルリンの壁が崩壊する1ヶ月前のことで既にこのことを予知していたとみえてものすごく暗いイメージの田園に仕上がっている。

しかし、この演奏には人間の真摯な苦悩が内在していて簡単に捨てがたい味がある。5楽章は秀逸。録音もホールトーンが豊かで気持ちいい。公演当日の聴衆は一生の思い出になったことだろう。

なおケーゲルは東西ドイツの併合後、1年後にピストル自殺を遂げた。その原因の一つに共産主義の敗北があったとされているが、イデオロギーの違いで自殺する人間なんて筋金入りですね。

 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ベルリン・フィルハーモニー
  録音1990年頃

 可もなし不可もなし

オーケストラの地を這うような弦の響きにはうっとりとするが取り立てて求心力のある演奏ではない。良くも悪くもないという表現になってしまう。

10 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ミラノ・スカラ座・フィルハーモニー  録音1991年

 田園の情景が浮かんでこない演奏

テンポを遅めにとったコクのある演奏だが、田園の情景が浮かんでくるようなイメージに乏しい。何だか曇り空の田園のようで気分が晴れてこない。そういえばイタリアのオケと田園とのイメージがどうも結びつかない(笑)。

11 ビッド・ジンマン指揮 チューリヒ・トンハーレ・オーケストラ
  録音1997年頃 

 演奏レベルに問題あり

ときどき管楽器の不発があるのがご愛嬌。聞き流すにはいいが、正面から向き合って聴く田園とは思えない。たどたどしいという印象を受けた。

と、ここで11枚のCDの試聴を終わったが、改めて探してみるとさらに3枚の新たなCDが見つかった。いったい、どうなってんの?(笑)



12 カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー 1971年

 どこといって欠点が見当たらないハイレベルの演奏

旧い学生時代の話になるが、まんべんなく全科目でいい点数を取る平均的優等生と、その一方で数学とか英語などの一科目に特別秀でているものの、他の科目はそれほどでもないという子がクラスの中に少なからずいるものだ。

そして、後になって記憶に残っている子といえば後者ですよね(笑)。

ベームに対して抱くイメージとはこの平均的優等生なのだが、この田園に関しては好き嫌いは別にして満点を献上してもいいくらいの優秀な出来栄えである。見直しました。まあ、オケも名にし負うウィーンフィルですからね~。

13 ブルーノ・ワルター指揮 ウィーン・フィルハーモニー 1936年

 録音さえ良ければこれがベスト1だろう

何せ1936年の録音だからSPの復刻版だろうし、ノイズだらけの音を予想していたが、意外にも聴きやすかった。とはいえ、モノラルだし周波数レンジには不満があるものの、現代のデジタル録音でこの演奏が聴ければおそらくベスト1ではなかろうか。後年録音したコロンビア交響楽団よりもさらに上を行く。

ところで、このCD盤を手に入れた経緯がどうも判明しない。おそらく何かの雑誌に絶賛されていたとしか思えない。

14 セルゲイ・チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー 
録音年 不明(ライブ盤)

 リズム感に欠けた演奏

その昔、ベルリンフィルの常任指揮者をカラヤンと争ったほどのチェリビダッケだが、この演奏にはどうにも頷けない。

音楽の3要素とされている「リズム、メロディ、ハーモニー」のうち肝心のリズムが欠落していてどうにも乗れない。

彼にはブルックナーの名演(第8番)があるが、「酒でいえばまことに芳醇であるが、量の多さが水増しされた感じ」(五味康祐氏)という、ブルックナーの音楽と相性が良さそうだ。

以上、14枚の試聴を終えたが、実を言うとこれほどの名曲ともなれば演奏の違いなんて五十歩百歩が正直なところで、ああでもないこうでもないと重箱の隅を突っつく自分が小さく見えて恥ずかしくなるほどだった。

言い換えると、大筋ではどれを聴いてもOKというわけだが、その中で強いて挙げるとすればマリナー盤、ワルター盤、ベーム盤、クレンペラー盤、ケーゲル盤が印象に残った。

最後に、久しぶりにここ2~3日「田園」漬けの毎日だったが、やはりこれは名曲中の名曲ですね。この歳になってもすっかり心が洗われる思いがしました。

そして、「シンフォ二―」こそは情報量の多さや弦のユニゾンの厚みからして、やはりクラシックの王者にふさわしいとの思いを強くしたところ。


こういう”きっかけ”を作ってくれた「龍角散」(CM)よ、どうもありがとさん(散)~笑~。

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