「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「こんな音楽、こんな音」のどこがいいんだろう?

2020年04月05日 | オーディオ談義

「ウヮ~ッ、汗臭い!」

午後の長い坂道ウォーキングから汗びっしょりで自宅に戻り、妻とすれ違ったときについ外方(そっぽ)を向かれてしまった

たかが汗の匂いなんかで、ガタガタ言うな!」と一喝してやりたいところだが、どこで陰湿な「復讐劇」が待っているか分からないのでぐっと我慢(笑)。

さて、この「匂い」というもの、たとえば閉め切った部屋の中で「嫌な匂い」を消臭剤や空気清浄機で半分まで減らしたとしても、私たちは「あぁ、半分の匂いになった」とは感じない。

「ほとんど変わってない」あるいは「やっぱり匂う」と感じてしまう。実は「半分になった」と感じるためには、「匂い」の90%を除去しなければならない。

「音」だってそう。

私たちはかすかな「虫の音」と「コンサートの大音量」を同じように聞く〔感じる)ことができる。もし人間が音量の絶対値を感じとることができるとすれば、「虫の音」は小さい音量なので感じ方も小さく、コンサートの大音量であれば感じ方も大きいことになるが、実際にはそうではない。

音の大小にかかわらず感じ方〔感覚)は同じで、小さい音も大きい音も同じように感じることが出来る。

たとえば10のエネルギーを持つ音があるとき、何倍にすれば人間は音の大きさ(感覚)が倍になったと感じるだろうか。

普通に考えると「倍だから、エネルギー量は20では?」と考えるが、人間の耳はそれほど鋭くはない。「2倍になった」と感じさせるには、実際には10倍の音の大きさにしなければならない。「10」の音が「100」になって、ようやく「2倍」と感じることができる。

こうした「匂い」や「音」などの五感、つまり「視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚」の感じ方には独自の法則があって、それは「足し算」ではなくて「掛け算」の世界で感じることが分かっている。

これが1860年に発表された
「ウェーバー=フェヒナーの法則」である。

「感覚の強さR
は刺激の強さSの対数に比例する」

これが「精神物理学」といわれる学問の発端となった画期的な法則である。

※ 「対数」とは、たとえば「2の3乗=8」のとき8の常用対数は3と表される。そう、誰もが学生時代に習ったあのややこしい(?)「log」の概念である。

「精神物理学」は心理学者ウェーバーが「感覚の世界を定量化できないか?」と考えたことから始まった。人の感覚というものはとても主観的なものだが、なにもかも「これは主観だ」と言っていては学問にならない。

こうしてウェーバーが目に見えない「人の気持ち」や「感覚」を定量化するために行った様々な研究をもとに物理学者フェヒナーが1860年に数式化に成功したものがこの法則だ。

つまり何が言いたいのかといえば私たち人間の感覚は、けっしていい加減なものではなく定量化できるということである。

以上、「面白くて眠れなくなる数学」(PHP)からの引用でした。もちろん自説ではないのでどうか信用してくださいね(笑)。

               

というわけで「オーディオ」が「聴覚」の分野に所属するのはいうまでもないが、残念なことに上記の法則ですべてが説明できるわけでもない。

それは単なる入り口に過ぎず、問題は音を聴いて「心地よく感じる感覚」がどこに由来するのかということに尽きる。

そこで
「オーディオ=音響物理学+精神物理学+感性」の登場になるが、この「感性」というものが個人ごとに千差万別なので定量化できないところにオーディオの究極の魔訶不思議が秘められている。

好きな音楽だって個人ごとに千差万別なので一致することはめったにないし、ましてやオーディオ・サウンドに至っては推して知るべし。


したがって、自分では「いい音楽でしょう、いい音でしょう」と自慢気に思っていても、他人にとっては「それほどでもないなあ」という「すれ違い」がしょっちゅう起こり、言葉や法則だけでは納得のいく説明ができないために世界中の至る所で悲喜劇が繰り返されることになる。

たとえば、オーディオ仲間との交流における離合集散などが典型的な事例で、親密な交流が不幸にも次第に疎遠になったりする原因の一つには、お互いの「いったいこんな音楽、こんな音のどこがいいんだろう」という感覚が契機になっているように思うのだが、はたして皆様のご意見はいかがでしょうか(笑)。

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