本の題名は忘れたが、「学問とは 仮説→実験→検証 のサイクルで成り立つ」と書いてあったのを記憶している。
オーディオもれっきとした「物理学」の一環だから、このサイクルが適用されるのが望ましいのだろうが、何といっても「仮説」の立て方が難しい・・、実験と検証は簡単だけどね。
その理由は、やたらにシステムを取り巻く環境の「変数」が多過ぎることにある。
たとえば大雑把に言っても「部屋の形状と大きさ」「レコードかデジタルか」「アンプは真空管式か、TR式か」「スピーカーは大型か小型か」、そしてこれらをさらに個々の細部にわたって詰めようとすれば気が遠くなるような根気がいる。
そこで、これまでの経験を踏まえて大方の「勘」に頼ってチャレンジせざるを得ない。
少なくとも我が家ではそうである。
以下、その実例を述べてみよう。
何回も繰り返して書くようで気が引けるのだが、このところゾッコンなのがこのスピーカー。
あまりに気に入ったものだから、いつもの癖で「TRIAXIOM(トライアキシオム)」(英国グッドマン)のスペアが欲しくなった(笑)。
もちろんオークションでは確率からいって10年に一度くらいの出品だから期待薄・・、そこで(ネットで)いくつかのオーディオショップを覗いてみたが、案の定(じょう)すべて「売り切れ」だった。
それはさておき、その中にこういう画像があった。
あれ~、ユニットの中央に位置しているツィーターのホーンが縦になるように置いている~。
我が家ではいつも、床と平行になるように置いているのだがいったいどちらが正解なんだろう。固定観念としては横置きですよね。
これは自分の耳で聴いてみるに如くはない・・、この程度なら仮説も要るまい~(笑)と、さっそく「90度」回転させてみました。
やはり変わりましたよ。何だか左右のセパレーションが良くなり、奥行き感も増した感じ~。
オーディオは「あちら立てれば、こちら立たず」で、機器を入れ替えたときなどはプラスとマイナスの差引き勘定で判断することが多いが、今回の場合は「プラス」面ばかりのような気がする(笑)。
よしっ、これから「TRIAXIOM」はこの方式で行こう。
で、しばらく聴いているうちに、待てよ~「ウェストミンスター」(改)の上に載せているウッドホーンも「縦置き」にして聴いてみたらどうなんだろうと、ムラムラと挑戦心が沸き起こってきた~。
かなり本格的なウッド・ホーンの「縦置き」なんて、あまり見聞したことはないが、別にお金がかかるわけでもなし、ちょっとした手間で実験できるのだから やらない手 はない。
仮説を立てるのもいいけど、行動した方が手っ取り早く済む~(笑)。
かくして次のような姿に。
いやあ、興味津々で聴いてみたけど、音が随分変わりました!
まず、プラス面では、
「セパレーションを始め音響空間が広がった」「音がより澄んできた感じがする」「ホーンの能率が高くなりアンプのボリュームを一目盛絞り気味に~」
マイナス面では
「ハーモニー(音の混ざり合い)ではやや落ちる感じ」
で、プラス面とマイナス面を差し引き勘定すると、縦置きの方が圧倒的に好き~(笑)。
その理由をつらつら考えてみるに、「ホーンの上の部分の音が天井に向けて放射されていて音響空間が広がっている」、「平行に置いた時と比べて、部屋中のいろんな置物に当たって跳ね返る間接音が少なくなりスッキリ感が漂う」、ことぐらいかな~。
とはいえ、我が家で上手くいったとはいえ、各家庭ではシステム環境がそれぞれ違うので簡単にはお薦めできません。第一しっかりした仮説に裏打ちされてないし~(笑)。
そういえば、いつも参考にさせてもらっている「T」さん(東海地方)のブログにこういうのがありました。ご近所の「お寺さん」にこういう掲示があったそうです。
思わず、ドキッとしました(笑)。
「嘘」をつく積りは毛頭ないけど、「勘違い」は大いにありそうです。
このブログを安易に信じて遠回りをすることがないように、くれぐれもご用心くださいね(笑)。
最後に・・、このシステムだとバッハの「無伴奏チェロ組曲」が気が遠くなるほど上手く鳴ってくれます。
チェロとオーケストラだけは「大型スピーカー」の出番が大いにありです。
これ1台と冒頭に登場させたスピーカーがあれば、外のはもう要らないかもねえ(笑)。
クリックをお願いね →