エウアンゲリオン

新約聖書研究は四福音書と使徒言行録が完了しました。
新たに、ショート・メッセージで信仰を育み励ましを具えます。

母と兄弟たち

2012-02-20 | ルカによる福音書
 マルコを踏襲するかのようでありながら、ルカはここでたとえのことについては一つのまとめを得たと理解して、出来事のほうに移ります。マルコであれば一つ前の章に戻るようなことをします。ルカなりの意図があったのでしょうが、果たしてそれが何に基づくのか、これは安易に決めることはできないようになっています。若干話題が変わるような勢いで、「さて、イエスのところに母と兄弟たちが来たが、群衆のために近づくことができなかった」(ルカ8:19)が唐突に始まります。マルコの順序を崩しているのは、何か意図があったのかとも思われますが、たとえについての一連の発言が一区切りついたところで、場面の転換に挿入したという印象をも与えます。つまりは明確な意図はよく分からないということです。「そこでイエスに、「母上と御兄弟たちが、お会いしたいと外に立っておられます」との知らせがあった」(ルカ8:20)というのは、マルコだったらイエスの気が変になったというような、さもありなんという当然の情景の中で描かれているのに対して、あまりにスマートです。イエスの家族のイメージを悪くしないような配慮なのかもしれません。マルコはイエスひとりに光を当てますが、時代とともに教会の内部では、やはりイエスの関係者もまた聖人化するというか、立派な人物に描かれなければならないような雰囲気になっていくものです。マタイですら、弟子たちを見事な人物たちとして描き直しています。ルカもまたそうでしょう。
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