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エウアンゲリオン

新約聖書研究は四福音書と使徒言行録が完了しました。
新たに、ショート・メッセージで信仰を育み励ましを具えます。

法と幸せの道を聞け

2025-05-03 | メッセージ
申命記6:1-3 
 
出エジプト記、レビ記、民数記の律法を簡潔にまとめ、モーセを通して手際よく提示するようにしたのが申命記であるといいます。「あなたがたが渡って行って所有しようとしている地で行うべきもの」だと宣言するので、話の展開として無理のない設定ができています。出エジプト記だと、そこにやたら不自然なところがあったように思います。
 
ここにあるのは「戒め、掟と法」であるそうですが、呼称は恐らくどうでもよいのです。区別があるわけではないでしょう。現実の法律として使われたものですが、現実には適用バージョンがあるのであって、イスラエルの法体系はそれなりに整備されてゆきます。ラビにより口伝で伝えてきた「ミシュナー」という解釈が、後に成立します。
 
この法に従って生きることで、「あなたも、子も孫も、生きているかぎり、あなたの神、主を畏れ、私が命じるすべての掟と戒めを守って、長く生きる」ようになるといいますが、筋としては、法を守れば長く生きるということなのでしょう。後にこれは永遠の命という概念に置き換えられてゆきますが、民への報いは「長く生きる」ことでありました。
 
逆に言うと、それほどにイスラエル国は、与えられた地でも長く生きることができなかったのです。それはこの法に従いきれなかったから、という理由付けで説明されるのですが、つまりは国として永続するというには程遠く、短命の国家でしかなかったことを示しています。つまり、人の一生というよりも、イスラエルの国をイメージすべきなのでしょう。
 
ですから個人的に神が呼びかけるいまのような信仰とは違って、「イスラエルよ」と呼びかけた上で、「あなたは聞いて、守り行いなさい」と命じます。「そうすれば幸せにな」るのだ、と。この「幸せ」というのが申命記のモチーフです。ここでは、約束の地で「あなたがたは大いに増える」ということが幸せだとされています。
 
これもまた、「長く生きる」ことと重なって見えてきてもよいのではないかと思います。そこは「乳と蜜の流れる地」です。象徴的な表現ではあります。文字通りに見る人はいないでしょう。ただ、このような幻を思い浮かべさせた上で、これに続いてモーセを通じて、神が民に呼びかけます。「聞け、イスラエルよ」と。私たちにも、呼びかけます。




イスラエルよ、あなたは聞いて、守り行いなさい。
そうすれば幸せになり、
あなたの先祖の神、主が告げられたとおり、
乳と蜜の流れる地であなたがたは大いに増える。(申命記6:3)

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