経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

真の強み

2012年01月04日 | Weblog
横道にそれました。



経営戦略立案の要諦は、

「どうしたら自分の店をお客が選んでくださるか」の要件を

具体的に示し、実践することに尽きるのです。

尽きるという意味はそれ以外の方法はないということです。



売上目標の1億円を達成するためには、消費者の中で買う人がいて、

合計で1億円買ってもらう、という戦略があってこそのことです。



その戦略、構造、体質を構築するにはどうしたらいいか、を考え、

その仕掛けのシナリオをシュミレーションするのが経営戦略です。



これまでにも何度か述べてきたことですが、売上=客数×売価、です。

この場合、売価は経営者の裁量で決めることが出来る。

(これですら、ITの世界ではオークションなどに見られるとおり、

お客様の裁量に移ってきています)が、客数は個々客の意思決定領域にあり、

経営者が決め得ることではないからです。 



だからお客が、自分の店を選び購入して頂く条件を考え、

それをお客に見える形で示すことが経営戦略の要諦になるわけです。



売上を作るのは、売り手ではなく買い手です。

売上を作れない売り手が、販売計画を作っても、

そのとおり行くほうが不自然で無理があるのです。

うまくいく方がおかしいのです。 



はしょって言えば、販売戦略とは、

買い手が選んで購入してくれる絶対動機や絶対理由を構築することです。

これを便宜上「強み」と称しましょうか。 



つまり個々の消費者からみて、

この店を選択するに値する具体的行動をなし「強み」を構築すること。

これが大きな企業目標の一つです。 



通常、経営者が「自社の強みは、第一に○△、第二に・・」

といっているのは、ライバル他社に対しての相対的優位点です。

それらは必ずしも消費者に対する絶対優位点とは一致しないし、

逆に消費者の利益に反する事例すらあります。



少なくともお客のことなど、そこでは眼中にないのです。 

ここでもお客とは無関係の世界に浸っているわけですね。



本来の事業の「強み」とは、

消費者1人1人の購入動機となるプラスの評価対象になる具体的事項。

それも行動であるべきです。



それが、先に述べた戦略ですら、ほとんどの会社が、

消費者に対する戦略でなく競争相手に対しての戦略なのです。



どっむいて礼

2012年01月02日 | Weblog
現場では、みな会社第一、上司を向いて、

自分大事、ノルマ必達で一生懸命。

そしてそれを頼もしく思う自分がいる、

と昨日、書きました。



これを書きながら、少し前の話を思い出しました。

観光地のこの地域では、古手で大きい方に手に入るホテルのレストランで、

私は夕方5時頃仕事の都合で早めの食事を取っていました。

夕食には早い時間ですから私以外にはお客はいません。



奥の客席で、当ホテルの社長のKさんと店長らしき人が、

なにや、打ち合わせをしていました。



遅番というのでしょう。従業員が出勤してきます。

彼女たちは、いちおうに私の側を通り、奥の社長のところに行き、

「おはようございます」と、大きな声で入れ替わり、立ち替わり

挨拶をしに行くのです。「おはようございます」と、



その往復、道すがら、

誰一人、お客の私に黙礼すらする人はいませんでした。

食事中ですから、してもらったらむしろ迷惑なのですが、

問題はそんなことではないのです。

D社長も店長も、私であることは気づいていませんが、

お客が食事をしていることは知っている。

にもかかわらずあきらかにそうしたやり方を、

社長と店長は「これ良し」、「ういやつよ」と、歓迎している。



「これは?と思いました。危ないのでは、とまで思いました。

彼女たちは、というよりこの会社は、

社長や店長など組織の上に向かって頭を下げていることを喜んでいる。

そんな風にしつけている。



そのしつけに従って、彼女たちは社長と店長にご挨拶。

そのしつけの徹底ぶりを、社長と店長は確認して、

満足げ、そんな感じがまさにありありと読み取れました。



それがこの組織風土になっている。



そのことこそ「お客に背を向けている姿勢」そのものです。

さっそく、この会社に食材を納めている知人のM社長に、

携帯で、その話をし、考えるようにアドバイスしました。



その週末、Mさんは、私のところに私の好物の豆腐を持って、

「びっくりしました。いつの間にか買い掛けがたまっていました」

「少しずつ、取引を減らしていきます。」

と、私の好物の豆腐を手土産に、嬉しそうに報告に来ました。

(彼の所の豆腐は美味いのです)。



彼は、タノウエ脳力経営塾の優等生。やることが早い。

と豆腐をいただいた嬉しさも加わって想いながら、

なんじゃ、この俺、あの社長と同じやん、やばい

と自戒するのでありました。



ところで、このホテルは、今はありません。

社長のKさんも、前後して、亡くなりました。