経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

内から、内は見えない。

2007年10月21日 | Weblog
 給料を払って、会社や社長等上位者の代行者、意向を汲んで行動する社員を雇用しているほど、怖いことはない。大至急、お客さまの味方、お客様の代弁者となって、堂々会社に注文をつける社員に替えるか、育て上げなければならない。理由は明快である。前者は会社を潰し、後者は経営者が楽をして儲かる方法だからだ。

 なぜか? 自分の荷物を運んでも金にならないが 、お客様の荷物を運ぶことは金になる。これが仕事だからである。だから販売員や営業パーソンは、お客の購買アドバイザーをして、買い物を有意義にしてあげるのが本来の仕事。本来の仕事ではなく、会社や上位者の替わりに仕事をしたのでは、金は入ってこない。ところが実際、会社を見てみると、お客に関係のない前者で、忙しがっているところが実に多いのである。

 これを後者、すなわち消費者を中心に据える。そして会社なりお店なりの物事の判断一切を、より直接的にお客に貢献する順に優先順位をつけて行動することで、組織は生産性を帯びてくる。だから、もったいない話。怖い話と申し上げているのである。
 そのためには、次の二段階の習慣作りが有効であると考えている。
 まず社内で行動する際、判断する際、「自分が買う場合だったら」、「自分がお客だったら」、また「そのことはお客様にとってメリットは、直接的にも間接的に、あるいは短期的にも長期的にもどれだけあるだろうか」、といった問いかけを行う習慣づくりである。 経営計画も作業段取りも、組織もそうした観点から作る。

 たとえば、「従業員たるもの、うちの店で、買わないのはけしからん」とやって、社員割引制度を導入し、つまり安売りしても買ってもらえないのはなぜか、といったように問題の本質を売り手の方からからみるといった習慣。また会社の立場からの言動を徹底的に払拭すること。この両面からの習慣作りが第一ステップ。

 次に、消費者体験である。たとえば、旅館やホテルであれば経営者が一人のお客として宿泊してみること。理髪店であれば、顔を知られていない他県の床屋へ行ってみることだ。スーパー経営者であれば、奥さんの買い物籠もちをやってみることでもいい。ただ念押しだが経営者としてでは、まったく意味がない。
 
 経営者が、消費者体験を十分積むと、販売会議などで、社員がいかに会社本位の論議をしているかが見えるようになる。その中から、一番ひどい人に、消費者体験を積んでもらうようにする。
 
 これで、社内ががらりと変わる。変わるが、ここでも経営者が変わらないと、また元に戻る。またかなりの個人格差がでる事も事実だ。だから、常に消費者の立場から、経営するという習慣作り、つまりお客として体験を重ね、どうしても経営者や売り手の意識が抜きってしまうことである。
 
 抜けたたかどうかは、長い間、休暇を取っていて、ある朝、久しぶりに出社したら、えらく会社の問題点が見えてきたという形で自分でわかる。
 なぜ、と問うより、実体験してみたらいい。経営を離れていたら、経営が見えてきたということは、自分で自分の身体が、ほとんど見えない、といったことと同様である。
売上げは、自分で挙げることは出来ない。これは自分の身体を自分で持ち上げることができないことと同様である。
社内から、自社はみえないが、外から見える。外から消費者は、此方をみて、購買するかしないかを図っている。

 こういったことが、しかとわかると、経営もおもしろくわかるようになる。

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