経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

幽霊と言葉

2008年08月27日 | Weblog
過日のこと。

中小企業診断士の法定研修会で、
仲間と共に講師をやらして頂いた。
この研修に出なければ資格を維持できない。
だから、毎年大盛況である。
今年も立ち見席92人。
だが、出ればいい、という意識があるので、
どうも反応はもうひとつ、である。

その分疲れる。

20時、帰宅。メールを開く。

ものは、考えようなんですね。
ピンチはチャンスということですね。

といったXさんのメールが躍っている。
例によって言葉だけが踊っている。

その通りなのだとおもうのだが、
一方、そう簡単に言葉だけをなぞって欲しくはない、
という気持ちも強い。

「それ」にいざ自分が直面したら、言葉だけの理解が、
なにの役にも立たないことが、目に見えていることだから。
時として、言葉は幻想となり、現実から離れて遊ぶ。


>前略 そうとうな景気後退の昨今、それでなくとも御承知の通り、
この業界は過当競争が激しく、パイは小さくなるのに、
業者は増えるといった現象が続いてきましたが、
最近同業者の倒産、廃業が相次ぎ、この地域ナンバー1が倒産。
さらにナンバー2もとかくの噂があり、
そうしたなかで、下から数えた方が早い私の会社は・・・・・後略

これは先日、Zさん(もちろん仮名)頂いたメールである。
わかる部分はカットしたが、ほぼ原文のママ。

メールの有り難さで、相手の顔も見えないし、
こちらの顔も相手に判らない。
そこでXさんのメールでは、遠慮なく笑わせてもらった。

Zさんは、何がおきても、自社の不振の背景に解する達人だ。
この類のメールをこれまで何回頂いたことか。
こちらは、ただただ苦笑だ。

Xさん、Zさん、どちらが、ということではない。
どちらとも言葉の上澄みで遊んでいる、と私には思える。

陽転思考なのですね、という前に、
    行動してそれを体験した後に言って欲しい。
不振の背景を枕詞に並べることより、
    そうした中で何をどうしたいのか、考えて欲しい。

言葉や知識や情報は、
それをもとに、いかに動いて、
素晴らしい人生を送るかを構想する材料なのだ。

それを、動かない理由、うまくいかない理由に、
それらを前払い、前倒し、先取りし、かき集めるのは、
どういうことだろう。

言葉には力がある。
Xさんから、「言霊」、言霊」と何回となく聞いた。

ただ、その力はプラスに対して力と
マイナスに対しての力がある。
そのどちらを選択するか、どう活用して、どう動くかは、
言葉ではなく、人である。

畢竟、言葉の力とは、人そのものの力なのだ。
言葉は、道具、ツールにすぎない。
人間が、道具の僕(しもべ)や、幽霊に
使われて、なんとしょう。

言葉が言霊であろうと、
言葉の幽霊に、自分の人生の支配されてはなるまい。
自分の人生の云々を道具のせいにしてはなるまい。
幽霊もまた、人の力が生み出したものなのだから。

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