経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

可笑しげ

2011年05月20日 | Weblog
少数精鋭主義を目指して「少数精鋭」になる、
といったことなら、わかる。

だが従業員が辞め、あるいは辞めさせておいて
人数が減ったから、「少数精鋭」はなかろう。

そもそも、人減らしと少数精鋭は次元の違う問題で、
話は別なのだ。


経済のセオリーに「量が質を決める」というのがある。
これを逆にいうと、少量では質の向上は望め得ない、
ということになる。

つまり、
人材が量的に確保されて豊富であってこそ、
質の確保、向上が望め、少数精鋭体制が可能になるのである。

少数精鋭には、
質の追求にはより高質の人材をあまねく求め、選りすぐる。
それに徹底した教育、人材育成を施す、
この2つをもって具現する、と考える。

現況が大変だからとか、
こうした状況を乗り切るためにとか、
そんなことから、少数精鋭の話がでて来ること自体
おかしげなことと言わざるを得ない。

少なくとも今の損益に一喜一憂し、
損益のバランスを人件費の調整で図ろうといった
安直な経営者に少数精鋭の言葉を発する資格など
あろうはずがない。


ともあれ、
近い将来のための人材を育てない、
あるいは失うといった意志決定は、
戦略的に見てまさに愚かな判断といえる。

それだけではない。
我が国における労働力需給不足は、
恒常的な本潮流であることは、
人口減少、少子化、高齢化等々の社会現象によって
裏打ちされている確定的事実である。

そしてその潮流自体は、
景気がよかろうと悪かろうと、変わるものではない。