経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

赤福さん、せめて言い訳は

2007年10月14日 | Weblog
博多から鹿児島への列車の中で、考えていたこと。
それは、やはりあの赤福のこと。

人間は歳を重ねるにつれて、だんだん身体が硬くなっていく。これが通常である。だから対策としては、ストレッチをしたり食事に配慮して、少しでも堅くならないように努力する。もちろん、私みたいに、対応しないものもいる。

同様に、事業を続けていると、だんだん固定資産が増えてくる。これが通常である。
なぜか。「本社ビルを建てた」「車を増やした」、社員が増えたから、事務用デスクを買い足した、といったように、流動資産であるお金を投資して、固定資産を手に入れるという作業を繰り返している。企業診断の成長をみる指標に、総資産の増加率がある。是には流動資産と固定資産の両方があるのだが、増えるのはおおむね後者の方。

かくして私たちは、固定資産が増えることを、個人的にも、企業的にも望ましいことと、信じていたわけである。だから固定資産が増えても、取り立てて問題視しなかった。
一方、流動資産の、とりわけ現預金により、そうした固定資産が購入されるわけだし、定期預金や売掛金も理論上では流動資産だが、拘束されていたり、入金が遅れ、焦げ付いていたりで、実質的には徐々に固定化してくる。

だから、企業の血液の流れ、すなわちキャシユフローに悩まされることになる。
これはまた、企業内のモノの流れが、鈍化したことをも意味する。
作ったものを、冷凍しチョキ保存すると言うことは、血管の流れでいえば、溜(りゅう)ができ、流れが澱んできたことだ。経営で言えば、在庫が滞留化することだ。どうしてそう言うことになるかと言えば、纏めて作ったからである。それは、そうした方が合理化、コストダウンが計れるということで、「そうしよう」という経営的意志決定が行われたからだ。 餡(アン)が意志決定するわけはない。経営陣が意志決定したはずだ。

今、多くのや企業で、固定化現象という人間でいう成人病が起きている。固定化現象のスピードが、償却を上回るから、ただでさえどんどん企業は肥満化していくことになる。これが財務面だけの影響であれば、まだ何とかなるが、経営者の頭、というか脳が反応が鈍くなるので、企業の舵取り、判断力も鈍ってくる。

濱田社長が、記者会見で、「法律を知らなかった」といっていたが、当社のHPでは、「できたてを出荷」とある。それに年に、1回は保健所が立ち入っていたはずだが、保険所も法律を知らず、30年間も当社に警句をしなかった、とでも言いたいのだろうか。
せめて、赤福さんには、言い逃れだけはして欲しくなかった。
いったこと、「真っ赤な嘘」、と叩かれたのでは、シャレにもならない。

それにしても、これだけの老舗でも、大きくなりすぎての成人病を押さえられなかったのか。 2007/10/13