経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

販売のおまじない

2007年03月05日 | Weblog
 何のため接客や販売員が必要なのだろうか。答えは簡単である。売るためである。ところが、この売るためにいる販売員の多くが、実は販売不振の要因になっている、といったことが多いのである。
結論を言うと「販売員が、売れない商品を熱心に売る努力をすればするほど、その店は売れなくなる」からである。あなたがお客の立場に立って貰ったらよくわかるはずだが、お店で商品をあの手この手の接客テクニックで売り付けられたとしたら、次にまた喜んで買う気になるかどうか。
いつも言っていることだが、その成功が、あすからの不振を呼ぶ。その人の販売への腐心とその成果が、その店に対する不信の引き金になる。
当然だ。どんな店でも繰り返し来店して貰って成り立っている。だから消費者が買ったのちに後悔するような売り方をしたのでは、一時的には売り上げは上がるが、お客の不評を蓄積させているのだから。
それに、販売員というものは、熱心に販売行為をなすことや自分の販売成績を上げることを仕事の目的と思っているから、始末におえない。もっともその責任のほとんどは経営者にあるといって良いのだが。

売る立場でお客に接し、お客の購買の楽しさや選択権を犯す販売員がいる店は、販売員が接客に熱心すればするほど、店の経営にとって大きな損害になる。このことを知らない経営者が、いかに多いことか・
人件費、教育費、それに多くは、能率給、成果報酬、販売奨励金といった追い銭までを出して、経営を衰退しているのだから、これはもう悲劇である。

「接客とは、真心」、「おもてなしは心を込めて」となどといって、なんとしよう。出来はしないことだ。
「そうか。販売員ではなく接遇員に呼称変更しよう」、と包装紙を替えだけでもだめだ。

経営には、経営者でなければ分からないこともあるが、消費者でなければ分からないこともある。経営者の最大の問題点は、自分が消費者である視点から経営を見る能力が欠乏していることに尽きる、と私は確信している(これが「諸費者中心主義」を私が提唱した理由であり、その確信が、「MMAPで経営革新」のもとになった)。http://jatsudon.in.coocan.jp/page016.html

静岡県・遠州各地に22店舗、まるでお菓子のコンビニ、「たこまん」というお店がある。ここの平松社長は、消費者から見た経営をなす希有な人だ。
販売力のおまじない、すなわち販売員のあり方、接客のありかたを知りたければ、ここで視察ではなく消費者になりきり、お客さんとして買い物してみることだ、と思う。。http://www.takoman.co.jp/
蛇足ながら、会社の経費で視察するような経営者は、消費者になりきる能力のない人だ。消費者になれる練習を積んでからにしないと、行くだけ無駄なこと。