ここで、中小商店の存在意義を例にとり全体と個の関係としての「共生の原理」について簡単に説明しておきたい。
時計は大小様々な歯車の組み合せで動く。それぞれの歯車がそれぞれの機能を果たして一つのシステムを成している。同様に店舗も大、中、小、様々の規模があり、一つの商業機能を果たしていると見てよい。
換言すれば、個々の機能が異なることが存在意義であるとしたら大と小の対立構図は存在せず、それぞれの機能を発揮して棲み分けられることになる。小店は大型店の下で身を細くしてもたれ合ったり、あるいは目こぼしを乞うて生かされるのでもなく、勇ましく大型店に戦いを挑むのでもない。小としての社会的、商業機能の役割分担を果たして生き抜くことが可能である。
このような第3の共生の道があることを多くの実例が示している。
いつも自問自答していることだが、小さい店は大きくなることだけが目的であろうか。 そうではないはずである。規模の大小は商人としてお客の生活をハッピーにするという商業活動共通の命題を果たす戦術の違いに過ぎず、小は小としての役割(戦略)を果たすことか重要と考える。