--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

講演「南極の動物たち」(2)~ペンギンの話

2006-11-22 | ふしぎ・なるほどー
「南極の動物たち」(2)はペンギンの話です。
ペンギン博士の内藤靖彦先生は南極観測隊として4回(うち3回越冬しそのうち2回は越冬隊長として参加)昭和基地を中心にペンギンの調査研究をされた方です。

とくにバイオロギングサイエンス(常時見ることができない水生動物に記録計を装着し、得られた情報から行動や生態を研究する科学:内藤先生より)の草分け的存在です。

コウテイペンギンは20万つがいが46ヶ所のコロニーで生息しているのだそうです。
昭和基地に一番近いコロニーは東に180kmほど行ったプリンスオラフ海岸の梅干し岩というところで、約300つがいいます。
このコロニーは日本の観測隊が(内藤先生たちが)飛行機を使ったペンギンセンサスで発見した、南極で分かっている中では最も小さなコロニーなのだそうです。
梅干し岩の300つがいというのは、どうやって調べるかというと、ヒナの数を数えるのだそうです。
ウーン確かに。
小学生くらいの子どもが会場でペンギンはつがいで数えるものなのですか?という質問をしていましたが、その答えはここにあります。
北の方の浮氷帯や海氷上で過ごしているペンギンを数えるのは至難の業ですから、繁殖活動の時につがい単位で数えるのが合理的なのですね。
昭和基地の西200kmほどのところには7000つがいのコロニーもあります。

アデリーペンギンは昭和基地周辺に3000羽ほどで、海氷の状況によって大きく前後するといわれています。
南極全体ではパックアイスの後退で、ナンキョクオキアミの生育場所が減ったため、ペンギンの生息数が減っているといいますが、昭和基地周辺は夏でも定着氷が残ることがある氷の厚いところなので、かえって生息数は増えているのだそうです。

コウテイペンギンの素潜り力は540mで20分ほど
アデリーペンギンも150mに5分ほど潜ることができます。
ペンギンは一日に一度はヒナにエサをあげなければならないので、朝6時頃から20時頃まで何度も潜ってエサをとっています。
アデリーペンギンの子育ては夏で150mほどの潜水なので、それほど暗くなることはないのでしょうけれど、
コウテイペンギンの子育ては真冬の薄暗い時期。
暗い海に500mも潜ったら、海の中は真っ暗です。
その中でどうやってエサを捕っているのでしょう?
潜水している時間のうちで、エサを捕食しているのはどの地点なのでしょう?
そういうことを探るために、バイオロギングサイエンスがあるのです。
ペンギンの背中にデータロガーを背負わせて採餌行動をみる、食道に温度計をつけて口の中にエサが入ったのを記録する、ペンギンのくちばしの上下にマグネットをつけ、口を開けると電流が切れて記録されるというものなど、いろいろなデータのとりかたがあることを知りました。

私はこの日、宿題がありました(勝手に自分に科しただけですが)。
それは昭和基地訪れることがあるコウテイペンギンのことを必ず聞こうと思っていたのです。
以前アップした「コウテイペンギン」で、繁殖開始前の若いペンギンか、繁殖に失敗したペンギンということなのでしょうか?という疑問を持っていました。
講演が終わってからお聞きしてみました。
どうやら私の予想通り、繁殖活動をはじめていない若いペンギンらしいです。
それも300つがいのほうのコロニーから来ていると思うとのこと。
子育て中には道草を食っている暇などないそうです。
やっぱり「観光」だったのでしょうかねぇ?
隊員さんのブログによると、まだ北の海氷上にいるとのこと。
また来てくれるといいのにな。

主な参考図書
「ニッポン南極観測隊~人間ドラマ50年」

内藤靖彦先生も執筆者の一お人です。
6章 「ここまでわかったペンギンの生態」

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