--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

日独共同航空機観測 (2)エアロゾル観測

2007-01-21 | 南極だより・観測
<1月28日にアップしています>
2月がもう目前で、S17での観測ももう残り少なくなってきました。
夏は忙しくあっという間に過ぎていきますね。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月20日(土)晴れ 日独共同航空機観測 (2)エアロゾル観測

S17でエアロゾルの航空機観測を行っているクルーとサイエンティストが、休養のためヘリで昭和基地に降りてきた。
バスラーのクルーのカナダ人3人、
ドルニエクルーのドイツ人6人、
サイエンティストのドイツ人とスウェーデン人、
そして原さん@気水、尾塚さん@気水だ。
主な目的は風呂に入ることと洗濯を行うこと。
前回来たのは丁度先週の土曜日で、一週間ぶりのリフレッシュだ。
昼食も基地でいただくのであるが、基地の土曜のメニューはカレーと決まっているので、前回と同じなのはちょっと可哀想ではあるがまぁ仕方ない。

先週はドイツ人とスウェーデン人のサイエンティスト2人に観測棟を案内した。
彼らはエアロゾルの観測担当だ。

1月上旬にS17に行った時、POLAR2の機内を見る機会があった。
まだセッティングの段階で詳しい説明を聞くことができなかったのだが、機内のスターボード側には観測機材を積んだラックが1列に並んでいる。
それぞれ前から、雲粒子測定装置、ネフェロメータ、CPC、サンフォトメータ、揮発性・非揮発性エアロゾル計測用CPC、エアロゾルサンプリング用インパクターだ。
主翼には雲粒子を測定するOPCが吊り下げられている。
これらの測定器を用いて大陸氷床上、ならびに海水面上の各鉛直分布を、連続測定するのだ。

現地では機器のトラブルに悩まされているもののなんとか修理して、フライト可能な日には一日に複数回の測定を行っているようだ。


#日独共同航空機観測に使われているpolar2

#観測装置が主翼の下に取り付けられている

#機内の観測装置

#揮発性・非揮発性物質を測定するCPC

#エアロゾルインパクター
右側の穴の開いたところにエアロゾルをぶつけてサンプリングする


-----1月20日本日の作業など-----
・一般物資集積
・レク係誕生会準備
・誕生会(角さん)
 最後の誕生会 越冬も残りわずかということでまったりモード
・テスト用二酸化炭素精製
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・テレビ会議アンケート返信

<日の出日の入>
日の出  なし
日の入   なし
<気象情報>
平均気温-2.4℃
最高気温-0.2℃(1526) 最低気温-6.4℃(0330)
平均風速2.8m/s
最大平均風速8.4m/s風向NE(0900) 最大瞬間風速11.2m/s風向NE(0855)
日照時間 7.8時間

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48次で行う日独共同航空機観測はエアロゾルの観測だということです。
エアロゾルの観測は、今までにもいくつか教えてもらいましたが、今回POLAR2に載っている観測装置がどういうものなのか、さっぱり分かりません。
OPCが光学的粒子カウンター(Optical Particle Counter)のことだと分かっても、CPCが凝縮核計数器というものだと分かっても、そのしくみを理解することはできないのでした。
今までの観測も含めて分かったことは、エアロゾルというものを観測したり採取したりするのに、とてもたくさんの方法があるということでしょうか。
たとえばCO2を観測するといえば、ターゲットは一種類のものだけですが、エアロゾルは微少な浮遊物のことなので、それ全体をターゲットにするのか、その中の何かを選んで観測するのか、それによっても違ってくるのだと思います。
南極でのエアロゾル観測は、オゾンホールの生成の大きな要因となっている極成層圏雲(PSC : Polar Stratospheric Clouds)の核になる硫酸エアロゾル(DMS:硫化ジメチル)が中心なのですよね?
ナンキョクオキアミが植物プランクトンを囓って食べるときにでるDMS(硫化ジメチル)は白いチリでアルベド(太陽光反射率)が大きく、南極を冷やす役割をしているということでした(排気ガスなどから出る黒いチリは、太陽光をよく吸収して温室効果がある)。
海氷の後退でナンキョクオキアミの生息域が減っているというデータもあるようですし、オゾンホールのことだけではなく、エアロゾルからはいろいろなことが分かりそうで楽しみです。
今回の日独共同航空機観測では、トラブルに悩まされているようですが、なんとか観測がうまくいくことを願っています。

S17の位置(リュツォホルム湾の地図)

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