100kl水槽清掃

47次越冬隊で行った海底堆積物掘削のことがニュース配信されていました。
47次の大きなプロジェクトだったのですが、今まであまり報道されていませんでした。
厚い氷に穴を開けるところから始まって、音響探査、堆積物掘削と7本のコアを採取するのにどれだけの苦労があったか、越冬中に見せていただきました。
このブログの南極だよりでも一端が紹介されていますが、全貌は三浦リーダとともにプロジェクトに関わってこられたお一人である澤柿さんのkaki-blogのProject-Mで知ることができます。
いい試料が採取できていることを願っています。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
---------------------------------------------------------------
2007年1月18日(木)晴れ 100kl水槽清掃

午後から100kl水槽の清掃を行った。
100kl水槽は新発の後ろにある薄緑色のビニルシートで覆われた水槽だ。

#100kl水槽
この100kL水槽は荒金ダムのバッファーの役目を果たしている。
もちろん水がめとしての役割があるのだが、別の役割もある。

新発にある発電機を冷却するために水が必要なのだが、厳冬期には荒金ダムの水では水温が低すぎる。
そこで100klに若干暖めた水をため、これを使って発電機を冷却しているのだ。
夏季には荒金ダムの水で直接冷却しても問題ない。

この100kl水槽を綺麗な状態で48次隊に引き渡すための清掃が行われた。
1年間使用していると、水に含まれている泥や小砂利で汚くなってしまう。
したがって、中の水をすっかり抜いて掃除する必要があるのだ。
普段、この水槽は水で満たされており中に入ることはできない。
貴重な体験でもある。

前日に水を抜かれた水槽の中には、天井に開けられた50cm四方ほどの穴から梯子を伝って降りる。
降りたとたんメガネが曇る。
ビニルハウスのようになって温度が高いゆえ、飽和水蒸気圧も高くなっているのである。
中はアルミの構造材の外側に厚手のビニルシートを張ってあるだけのシンプルな構造だ。
そこに入口と出口の配管が通る。
天井もビニルシートなので中は結構明るい。
大きさといい、天井の高さといい、その雰囲気といい、モンゴルのゲルを思い出した。

#100kl水槽の出入り口

#内部は1年たつとけっこう汚れるのですね
掃除は最初に壁についた泥や汚れをデッキブラシでこすって落とすことからはじめる。

この時点で水深は10cmほど。
この水を使って壁を洗い流しながらポンプで排水する。
デッキブラシの後はウエスで綺麗に素地を拭き取る。
2,3回拭いただけでウエスは真っ黒だ。

ほとんどの水を排水したら最後は床。
同様にデッキブラシで汚れを落とした後、ウエスで拭き取る。

#最初に壁を掃除する

#最後は床
(ぞうきんではなくウエスなのね?)

意外に時間はかからず2時間程で終了。
すっかり綺麗になった100kl水槽をみてなんだか嬉しくなってしまった。


-----1月18日本日の作業など-----
・CH4計PC98データ取得システムチェック
・Ch4計15日報告
・100kL水槽清掃
・Linuxインストール
・持ち帰り物資集積
・CO2計ダイアフラムポンプダイアフラム、フィルター、エタノール交換
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温0.3℃
最高気温3.2℃(1408) 最低気温-2.7℃(2358)
平均風速3.2m/s
最大平均風速6.0m/s風向SSW(1840) 最大瞬間風速8.1m/s風向SW(2121)
日照時間 12.1時間

--------------------------------------------------------------
南極だよりに書かれているように、昭和基地の水瓶は「荒金ダム」だけれど、新発の後には2つの大きな水槽があります。
130klの蓋のないオープンな水槽は、ドリフト(吹きだまり)が溜まるようになっています。
一方で、蓋のあるのが荒金ダムの水を引き込んでもう一つの100kl水槽のようです。
130kl水槽は冬場の雪入れで南極だよりになり、そのときに役割も知ることができました。
100kl水槽は予備水槽だとばかり思っていたので、あまり重要だと思っていなかったのです。
水の流れは「荒金ダム→100kl水槽→新発」だったのですね(夏場は「荒金ダム→新発」?)。

「荒金ダム」に「新発の発電機は冷却水で冷やされているが、温まった水は新発裏にある130kL水槽、100kL水槽、そして荒金ダムの間を循環させている。」と書いてあったことを加味すると、「荒金ダム→100kl水槽→新発→130kl水槽→荒金ダム」という循環になるのでしょうか?
どう循環しているか、なんてことは私が知ってもどうにでもなることではないのでしょうけれど、気にし始めると気になるものなのです。
でも、この循環で発電機にはラジエータの役目をし、荒金ダムの凍結を防いでいるというのは、うまくできているなぁと思うのです。

水槽は1年たつとけっこう汚れるものなのですね。
私の職場で6月に行われるプール清掃を思い出すようです。
「すっかり綺麗になった100kl水槽をみてなんだか嬉しくなってしまった」という気持ち、お世話になった施設に対する愛着なのかな、という気がします。
越冬交代を控え、徐々に引き渡す準備が整いつつあるようですね。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 黒いバナナ 引継ぎ »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。