--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

S17無人航空機観測支援(2)カイトプレーン

2007-01-29 | 南極だより・観測
今日は南極観測50年の節目の日。
ブログを検索すると、そのことについて書いている人がたくさんいます。
記念硬貨と切手が出た頃から、「南極」で検索して、これほど南極観測の内容でひっかかったことがあるだろうか??というくらいです。
今までは、たいていコウテイペンギンとか、地球温暖化で氷が溶けるという内容のものが多かったのに。
なんだか世の中盛り上がっているみたいです(私は年中盛り上がってます)。
渡井さんは、この日を南極大陸で迎えたようです。
それでは渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月28日(日)晴れカタバ風やや強し S17無人航空機観測支援(2)カイトプレーン

今回のS17では3タイプのUAVを飛ばすことを念頭においている。
カイトプレーン、AntPlane4それにAntPlane5だ。
今日は朝から強かったカタバ風が午後になっても止まず、観測は天候待ちとなった。
機材の調整も必要だったので丁度良い。

カイトプレーンは凧と飛行機を組み合わせたような構造だ。
外観は機体上部を覆うように取り付けられた化学繊維製の大きな主翼が特徴的だ。
推進器は機体中央部に取り付けられたプロペラだ。
これを2気筒90ccほどの2ストロークエンジンで駆動させる。
機体のコントロールはエンジン回転数と、水平尾翼の左右のエレベータと垂直尾翼のラダーを調整して行う。
航続時間は燃料タンク容量によって異なるが、1.5-2時間ほど。
最高到達高度は約3000mである。
構造上速度はそれほど出すことはできず、対空速度で40km/hほどか。

プロポによる操縦ももちろん可能だが、カイトプレーンにはGPSの信号を受け取って、あらかじめ組み込んだルートをたどることができるように、自律航法システムが組み込まれている。
水平尾翼の左右のエレベータと垂直尾翼のラダーを調整して、自分の向かうべき方向へと自ら進むのだ。
UAVたる機能である。

ただし離着陸は手動で行わなければならない。
ここの操作は結構熟練の技が必要だ。
初回のテストフライトではGPS高度で900m以上まで到達することができた。


#プロポを持つ隊員さんとカイトプレーン

#テストフライトでは気温・湿度のデータを取る データはPDAに収録

#飛んだ! 滑走路とカイトプレーン

#雪上車の上にはアンテナ、そこでデータを受信する

#航跡はPCに記されます

-----1月28日本日の作業など-----
・S17無人航空機(UAV)観測支援
 カタバ風がやや強く飛行は断念
 ベルギーの観測隊が夕刻バスラーでNovoへ向かう。

<日の出日の入>
日の出   02:12
日の入    22:51
<気象情報>
平均気温1.7℃
最高気温5.8℃(1654) 最低気温-2.7℃(0103)
平均風速5.8m/s
最大平均風速10.7m/s風向ENE(0700) 最大瞬間風速13.9m/s風向E(2252)
日照時間 19.6時間

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昨日の南極だよりで、試験飛行が成功したと書いてあったのに、その写真もなかったのでどうだったのかな・・と思っていたら、今日の南極だよりで紹介してくれる予定だったのですね。
カイトプレーンは、昨日も少し書いたように商標名みたいです。
調べてみるとまさに赤い機体に青いカイトのカイトプレーンが見つかりました。
グライダーとヘリコプターとプロペラ機を足して割ったような、なんともインパクトの強い航空機ですね。
かわいらしくて、ちょっとおもちゃみたい(ゴメンナサイ)なのに、ちゃんと滑走路を使って飛んでいるのですよ。
滑走路がとてつもなく広く感じます。
昨日「自律飛行」という文字を見て、人間が乗っていないのだから十分自律していると思ったのですが、プロポで操縦していたら「自律飛行」ではないということなのですね。
GPSで信号を受け取りながら、プログラムされたルートを飛ぶというのは、今の技術なら驚くこともないけれど、どんなしくみになっているのかな、というのは気になります。
今回はグルグルと回っていたということでしょうか?
実際に自律飛行になったら、どんなルートで飛ぶのか楽しみです。

今回飛ばすUAVはカイトプレーンだけではないのですね。
どんな無人航空機なのか、紹介してもらうのも楽しみです。

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