日本人の起源

遺伝子・言語・考古・歴史・民族学などの既存研究成果を統合し、学際的に日本人と日本語の成り立ちを解き明かす

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3.移動ルートと人種形成

2015年02月01日 | 本論1-世界的視点
 世界の人類集団を区分する際に長らく人種という概念が用いられてきた。欧州を中心としたコーカソイド(白色人種)、東アジアとアメリカ先住民のモンゴロイド(黄色人種)、アフリカのネグロイド(黒色人種)は3大人種とされている。オーストラリアのアボリジニなどオーストラロイドを加えて4大人種とする場合もあり、アメリカ先住民をアメリンドとして独立させる場合もある。各人種は肌の色、髪の色、顔立ちなどによって長年区分されてきた。例えばネグロイドは黒肌や広鼻、コーカソイドは目鼻立ちのはっきりした顔、モンゴロイドは平顔、蒙古班などが特徴的だ。最近では遺伝子からもその妥当性がある程度支持されている。一方で一部の遺伝学者からは従来の形質人類学的手法による人種区分は非科学的であるという声もあるが、果たして人種とはどのような歴史を経て形成されたのであろうか。
 先に、人類は出アフリカ後、南ルート、北ルート、西ルートの3方面に拡散したと述べた。これは遺伝子の面からもはっきり読み取ることができる。前に挙げたY染色体ハプログループについてそれぞれのハプログループが進んだ移動ルートは次のようになる。
 非出アフリカ…A,B,E 
 南ルート…C1b,C1c,F1~4,K*,M,S ,H, L 
 北ルート…D,C1a1,C2,N,O,Q 
 西ルート…I,J,G,R。
 ミトコンドリアDNAについても同様に、非出アフリカ+出アフリカ後3ルートにはっきり区分することができる(ここでは詳細は省かせていただく)。実はこれがそのまま人種形成につながったのである。すなわち、南ルートをとったグループがオーストラロイド、北ルートをとったグループがモンゴロイド、西ルートをとったグループがコーカソイドになり、出アフリカをせずアフリカに留まったグループがネグロイドなのである。よってこれらからすなわち人種を判別できることになる。Y染色体Hgについては 
 非出アフリカ:A,B,E ⇒ネグロイド 
 南ルート:C1b,C1c,F1~4,K*,M,S,H,L ⇒オーストラロイド 
 北ルート:D,C1a1,C2,N,O,Q ⇒モンゴロイド 
 西ルート:I,J,G,R ⇒コーカソイド

となる。

図1-11

図1-12

 ある地域の人類集団(民族など)の人種を知りたい場合、Y染色体、ミトコンドリアDNAのハプログループを調査して、どのルート由来かみれば、どの人種に区分されるか、混血の度合い、母系と父系の由来の違いなどがおおよそ判別できるのである。これは髪の色、肌の色、眼の色等に比べ科学的かつ確実な人種決定法であろう。このようにして判別される世界の人種地図が図1-13である。

図1-13
 なお各ルートへの移住の波は複数回あったと考えるのが自然だが、ルート途中で先住波集団と混血し均質化していった。また同一人種内の集団に多系統のハプログループが存在する、すなわちY染色体Hgの系統と人種系統が一致しないことにも注意が必要である。すなわち人種形成における母集団の段階で多系統のハプログループを保有していたと考えられる。

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