きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

8月26日の日本民話 心のやさしい一休さん

2009-08-26 05:49:04 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 8月の日本民話


8月26日の日本民話


心のやさしい一休さん



心のやさしい一休さん
滋賀県の民話滋賀県情報


 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 その一休さんが、大人になったころのお話です。
 一休さんが近江の国(おうみのくに→滋賀県)のあるお寺にいたとき、左の目がわるい一人の老人が、夢の中に現れていいました。
「わたしは、三年前に死んだ喜介(きすけ)ともうします。となり村にすむ角助(かくすけ)の父親で、いまはキジに生まれかわっています。何日かあとに、この地の役人がタカ狩りをします。わたしは追われて、このお寺へ逃げこんできます。そしたらどうか、かくまってください。わたしは人間だったとき、左の目をけがで失いました。生まれかわっても、左の目は見えません」
 老人は泣きながら、そう語りました。
 何日かたつと、お寺のある山里で大がかりなタカ狩りが始まりました。
 するとタカに追われたキジが、羽をバタバタさせながら飛んできて、お寺の庭に落ちました。
 それを見た一休さんは、夢の話を思いだしたのです。
 キジの左の目を見ると、まっ白です。
 一休さんはそのキジをかかえると、お寺の土間(どま)へ走り、お釜(かま)の中に入れてふたをしました。
 狩りがおわると一休さんはキジをつれて、となり村の角助の家をたずねていきました。
 そしてキジの話を、くわしくきかせました。
 角助はキジをもらいうけると、父親の生まれかわりだというそのキジを、一生たいせつにかいつづけたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → レインボーブリッジの日
きょうの誕生花 → へちま
きょうの誕生日 → 1964年 つちやかおり(俳優)


きょうの新作昔話 → 淵の大グモ
きょうの日本昔話 → 人の精気を吸うがま
きょうの世界昔話 → 大入道と仕立屋
きょうの日本民話 → 心のやさしい一休さん
きょうのイソップ童話 → ゼウスとプロメテウスとアテネとモモス
きょうの江戸小話 → 首売り


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8月25日の日本民話 ニワトリの恩返し

2009-08-25 06:23:53 | Weblog

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8月25日の日本民話


ニワトリの恩返し



ニワトリの恩返し
青森県の民話青森県情報


 むかしむかし、ある村のお寺の和尚(おしょう)さんが、北海道へでかけて帰ってくるときのことでした。
 連絡船(れんらくせん)の船室で眠っていた和尚さんは、不思議な夢をみました。
 一羽のニワトリが、こんな事をいうのです。
「わたしは、この船にのっているニワトリです。夜明け前には殺されて食べられてしまいます。どうかわたしを助けてください。六十銭で、わたしの命を買いとってください。どうかお願いいたします」
 やがて空が白みはじめると、和尚さんは目をさましました。
「不思議な夢じゃ。ただの夢だろうが、もしもという事がある」
 そこで和尚さんは船が港につく前に、お供の小僧(こぞう)さんに一円札を持たせて、ニワトリをつれている人がいたらその人からニワトリを買いとるよういいつけたのです。
 しばらくすると、小僧さんはカゴに入ったニワトリと、つり銭の四十銭を持って和尚さんのところへもどってきました。
 何と、金額までピッタリで、不思議な夢は正夢だったのです。
 和尚さんはそのニワトリを港の知り合いの人にあずけて、村のお寺へ帰っていきました。
 ニワトリはその後、八ヶ月ほどして死んでしまいました。
 ニワトリをあずけた知り合いからその知らせをうけると、和尚さんは知りあいの家まででかけていって、ニワトリの供養(くよう)をしてやりました。
 それからしばらくたったある日、和尚さんの夢の中に、あのニワトリが現れました。
「和尚さま、おかげさまでわたしは命をのばすことができました。寿命がつきるまで生きられたのですから、まことにしあわせです。お礼として和尚さまのお命を、七十五才になる年の七月二十五日までお守りいたします。それまではどんな病気になっても、けっして死ぬようなことはさせませんのでご安心を」
 それから行く年か過ぎて、和尚さんは七十五歳の七月二十五日の日をむかえました。
「今日までは、あのニワトリがわしを見守ってくれていたわけか。そう言えば、今までたいした病気にもならずにやってこられた。ニワトリに礼をいわんといかんな。さあ、あしたからはニワトリも見守ってくれん。体に注意せんとな」
 和尚さんは自分にいいきかせましたが、その後まもなく病気になり、一月後の八月二十五日に大往生(だいおうじょう)をとげたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 歯茎の日
きょうの誕生花 → ひおうぎ
きょうの誕生日 → 1948年 きたろう(タレント)



きょうの日本昔話 → はなよめになりそこねたネコ
きょうの世界昔話 → いつまでも友だち
きょうの日本民話 → ニワトリの恩返し
きょうのイソップ童話 → キツネとヤギ
きょうの江戸小話 → ゆうれいの命もこれっきり


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8月24日の日本民話 カエルのお坊さん

2009-08-24 08:41:13 | Weblog

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8月24日の日本民話


カエルのお坊さん



カエルのお坊さん

岡山県の民話岡山県情報

♪朗読再生


 むかしむかし、ある池の中に、カエルのお坊さんがいました。
 毎日、ハスの葉っぱの上に座って、
「ナムゲロゲロダブツ」
と、お経をあげていました。
 とてもすごいお坊さんで、その日に咲(さ)くハスの花の数をかぞえて、いくつお葬式(そうしき)があるかを言い当てるのです。
 さて、ある日の朝の事、池の上にハスの花が五つ咲きました。
(おや、今日は五つもお葬式があって、忙しくなりそうだ)
と、思っていたら、さっそくモグラのおかみさんがやってきて、
「カエルのお坊さま。主人が亡くなりました」
と、言いました。
「それはお気の毒に。でも、あんたのご主人はよく働いたから、立派な仏さまになれるだろう。ナムゲロゲロダブツ」
と、ていねいにお経をあげてやりました。
 するとそこへ、セミの息子がやってきて、
「カエルのお坊さま。おやじが亡くなりました。立派な仏さまになれるよう、お経をあげてやってください」
と、言いました。
「残念じゃが、そいつは無理じゃな。夏の間、仕事もせずに歌ばかりうたっていて、立派な仏さまになれるもんか。まあそれでも、お経だけはあげてやろう」
 カエルのお坊さんはこわい顔で、
「ナムゲロゲロダブツ!」
と、お経をあげました。
 セミの息子がガッカリして帰って行くと、今度はコオロギの家から使いがやってきました。
「カエルのお坊さま。うちのだんなが、亡くなりました」
「なんと、コオロギのだんなが亡くなったとな。うーん、これからはいよいよ、お前さんたちの季節がくるというのに、なんともおしいのう。よしよし、立派な仏さまになれるよう、お経をあげてやろう。ナムゲロゲロダブツ」
 カエルのお坊さんがいっしょうけんめいお経をあげていると、目の前に緋鯉(ひごい→金・銀・赤などの色の付いたコイの総称)が顔を出して言いました。
「カエルのお坊さま。さっき、夫が亡くなりました。どうか立派な仏さまになれるように、お経をあげてやってください」
「だめだ、だめだ。夫婦して毎日遊びくらしていたくせに。・・・でもまあ、お経ぐらいはあげてやるが。ナムゲロゲロダブツ!」
 お経がすむと、カエルのお坊さんがホッとして言いました。
「やれやれ、これで四つのお葬式が終わったぞ。あと一つはどうなっている? 早く言ってこないかな」
 そのとたん、池のそばで遊んでいた人間の子どもが石を投げました。
 石はカエルのお坊さんの頭に当たり、カエルのお坊さんはひっくり返ると、白いおなかを出して言いました。
「こいつはたまげた。五つ目のお葬式がわしとは、気がつかなかった。ナムゲロゲロダブツ」
 そしてそのまま、死んでしまったという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 大噴火の日
きょうの誕生花 → おいらんそう(宿根フロックス)
きょうの誕生日 → 1879年 瀧廉太郎 (作曲家)


きょうの新作昔話 → 袈裟切り地蔵(けさきりじぞう)
きょうの日本昔話 → 大ムカデの妖怪
きょうの世界昔話 → イボンとフィネット
きょうの日本民話 → カエルのお坊さん
きょうのイソップ童話 → ヘルメスとテイレシアス
きょうの江戸小話 → 消えた小判


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8月23日の日本民話 にぎりめしをとられたさむらい

2009-08-23 07:41:52 | Weblog

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8月23日の日本民話


にぎりめしをとられたさむらい



にぎりめしをとられたさむらい
岩手県の民話岩手県情報


 むかしむかし、ある山にずるがしこいキツネが住んでいて、通る人をだましては荷物をとっていました。
(こまったキツネだ)
と、思っても、キツネがこわくて、だれ一人キツネをやっつけるものはおりません。
 ところが、それを聞いた一人のさむらいが、
「キツネのくせに人の荷物をとるなんて、とんでもないやつだ。ここは一つ、わしが退治(たいじ)してくれよう」
と、言って、にぎりめしの弁当を背負い、キツネのいる山道へと出かけていきました。
 さむらいは山道のとちゅうで立ちどまり、に手をかけたまま、キツネの現れるのをジッと待っていました。
 ところがいつまで待っても、キツネが現れません。
(わしがくると知って、出てこないんだな)
 さむらいはしかたなく近くにあった石の上にこしをおろし、弁当のつつみを開いてにぎりめしを食べはじめました。
 その時、山道の下の方で何やら人のさけぶ声がしました。
(さては、キツネが現れたか)
 さむらいはにぎりめしをおいて、立ちあがりました。
 すると山の下のほうから一頭のウマがかけだしてきて、後ろから二、三人のお百姓(ひゃくしょう)さんが追いかけてきます。
(なんだ、ウマが逃げだしたのか。よし、わしがつかまえてやろう)
 さむらいは道のとちゅうに立って、ウマを待ちかまえました。
 ところがそのウマは、さむらいめがけて頭からつっこんできます。
「あぶない!」
 さすがのさむらいも、あわてて草むらへ飛込みました。
 そのとたん、ウマがにぎりめしを口にくわえたまま走っていったのです。
「しまった!」
 さむらいがあわててはねおきると、ウマの姿はだんだん小さくなり、いつのまにかにぎりめしをくわえたキツネの姿になって逃げていきました。
 ふりかえってみると、ウマを追っかけてきたお百姓さんもいません。
「やられた! キツネにやられるとは、なんたる不覚(ふかく)」
 この事が知られるとはずかしいので、さむらいはこそこそ逃げるようにして、山をおりていきました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 白虎隊の日
きょうの誕生花 → げっかびじん(月下美人)
きょうの誕生日 → 1972年 山咲トオル(漫画家)



きょうの日本昔話 → なぞなぞばけもの
きょうの世界昔話 → あなたの大切な物
きょうの日本民話 → にぎりめしをとられたさむらい
きょうのイソップ童話 → ゼウスと〈よいこと〉のつまった樽
きょうの江戸小話 → ひとえのゆうれい


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8月22日の日本民話 白い衣の神さま

2009-08-22 06:54:59 | Weblog

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8月22日の日本民話


白い衣の神さま



白い衣の神さま
愛知県の民話愛知県情報


 むかしむかし、お祭りがちかづいた神社で、狂言(きょうげん)の舞台(ぶたい)がせまいので舞台を広げる工事をすることになりました。
 村の人たちがひと月近く手弁当(てべんとう→自分で弁当を用意することで、一般的にボランティア活動をさします)で仕事をつづけ、あとは壁の残りの部分をぬれば工事もおわりというところへ、音吉(おときち)という若者が、おけをかついで水を運んできました。
 音吉は勢いよく、壁土(かべつち)の中へそのおけの水を入れました。
 そのとき、近くにいた人が、
「おい、そのおけはなんじゃい。しょうべんをいれるおけじゃねえか。そんなきたねえものに水を入れてくるやつがあるか!」
と、しかりつけました。
 とはいっても、水はぜんぶ壁土にそそがれてしまったので、いまさらどうすることもできません。
「しょうがねえなあ。しょうべんで壁土をこねたわけではねえから、まあいいか」
 そういって、こねた土を壁にぬって仕事をおえました。
 そして村の若者たちが新しくできた舞台で、狂言のけいこをはじめました。
 ところが夜がふけると、舞台のあちこちにワタのような物がたくさん現れて、フワフワと舞いだしたのです。
 若者たちは気味がわるくなって役人へとどけにいきましたが、役人が調べてもわかりません。
「きっと、キツネかタヌキのイタズラだろう」
と、いうことになって、次の日の夜は鉄砲(てっぽう)を持ちこんで、様子をうかがっていました。
 するととつぜん大きな音がして、火の玉がたくさん舞台の上にころがりだしたのです。
 狂言のけいこをしていた若者たちはビックリして、舞台から逃げだしました。
 三日目の夜になると、うらの山から地ひびきのような物音がひびいてきました。
 そして右の手に榊(さかき→ツバキ科の常緑小高木)の枝、左手にろうそくを持った白い衣を着た神さまのような人が現れて、茶碗ほどもある大きな目玉で、若者たちをにらみつけたのです。
 ビックリした若者たちは雨戸(あまど)をけやぶって、外へとびだしていきました。
 ある日、村の人たちの頭に音吉のことがうかびました。
 きたないおけで運んできた水で壁土をねり、それをぬってしまったために、神さまが怒っているのかもしれません。
 そして次の日の夕方、神主さんにいのってもらって、狂言の舞台をすっかり清めてもらいました。
 すると神さまも怒りをおさめてくれたらしく、その夜からなにもおこらなくなりました。
 村の若者たちも安心して、狂言のけいこにはげんだという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → チンチン電車の日
きょうの誕生花 → アガパンサス(むらさきくんしらん)
きょうの誕生日 → 1944年 みのもんた(司会者)



きょうの日本昔話 → 卵のような顔
きょうの世界昔話 → カメの遠足
きょうの日本民話 → 白い衣の神さま
きょうのイソップ童話 → イヌと貝
きょうの江戸小話 → へなへなへな


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