きょうの日本民話 gooブログ編

47都道府県の日本民話をイラスト付きで毎日配信。

12月26日の日本民話 雨の小ぼうず

2008-12-26 06:40:19 | Weblog

福娘童話集 > きょうの日本民話 > 12月の日本民話


12月26日の日本民話


雨の小ぼうず



雨の小ぼうず
京都府の民話京都府情報


 むかしむかし、京の都のある町に、新兵衛(しんべえ)というたいへん気のやさしい商人がいました。
 きものを売る店の主人でしたが、店のほうは息子にまかせて、今は気楽な隠居(いんきょ)の身です。
 好きなうたい(→能や狂言)のけいこに、せいを出す毎日でした。
 その日は、けいこにでかける夕がたになって、雨がふりだしました。
 新兵衛は雨のなかを、となり町までけいこにでかけました。
 けいこがおわったあとに、いつものように仲間たちであつまって、よもやまばなし(→せけんばなし)に花をさかせているうちに、いつのまにか夜がふけてしまいました。
「おや? もうこんな時刻でしたか」
 新兵衛はやっとこしをあげて、仲間の者たちとわかれると、一人だけはんたいの方角の道を家にかえっていきました。
 雨はしとしと、まだふりつづいており、道にはいくつも水たまりができて、ちょうちんの灯に光っています。
 その水たまりをよけながら、うたいの一せつを口ずさんで歩いていると、あるお屋敷の大きな門の下に白いものがみえました。
(はて。なんだろう?)
 ちょうちんの灯をむけながら近づいていくと、門の下に六つか七つばかりの男の子がしょんぼりとたって、足もとにおちる雨だれをみつめていました。
(こんな夜ふけに、この子はなにをしているんだろう?)
 きちんとした身なりをからすると、家のない子ではなさそうです。
 男の子は新兵衛と目があうと、はずかしそうにすぐに目をふせました。
 そして門の下から雨の中へとびだして、新兵衛の家の方向に歩きだしました。
「これこれ。待ちなさい。どこまでいくのじゃな? 雨にぬれてはからだに毒じゃ。ほれ、わたしのかさに入りなさい」
 新兵衛は、男の子のあとを追いました。
 男の子はぴたぴたと、水をふくんだぞうりの音をさせながら、ふりむきもせずに歩いていきます。
「わたしの家は、もうすぐそこだ。遠くまでいくのなら、わたしの家によりなさい。かさをかしてやろう。ひと休みしていきなさい」
 うしろから子どもにやさしく声をかけましたが、子どもがだまったままなので、今度はあれこれとおもいをめぐらしました。
(しょんぼりと門の下にたっていたが、べつにさびしそうな顔はしていなかったな、すると、どこかのお店でほうこうしていて、仕事がおわってからひまをもらったんだろう。これから親もとへかえるのかもしれない)
 そうおもうと、男の子がいじらしくなってきました。
 新兵衛も子どもの頃に苦労して、いまの立派な店を持つ事ができたのです。
「ほれ、ほれ。ぬれていないでお入り」
 新兵衛はかさをのばしながら、前を歩く男の子にいいました。
 男の子はあいかわらずだまって、ぴたぴたぞうりの音をさせています。
 新兵衛の頭のなかに、またちがったおもいがうかびました。
(待てよ。そういえば、雨だれをみつめていたあの目は、何かをおもいつめたような悲しそうな目だったぞ。きっと、この子の父親か母親が病気で、きゅうになくなってしまい、どこぞのお寺さんへでも知らせにいくところかもしれないぞ)
 そうおもうと、新兵衛はますます男の子の事が気がかりになってきました。
 自分の家はもうすぐそこで、大きなスギの木の下の茶屋のかどをまがれば、一丁(いっちょう→百メートル)ほどです。
 新兵衛はかさとちょうちんを、男の子にあたえようとしました。
「わたしの家は、あそこのかどをまがればもうすぐだ。このかさと明りを持っていきなさい。えんりょはいらないよ。ほれ」
 ぴたぴたとぞうりで水をたたきながら歩いていた男の子が、ようやくたちどまって、はじめてふりかえりました。
「・・・?!」
 新兵衛は思わず、いきをのみこみました。
 なんと男の子の顔には、たまごのような三つの目玉と大きな口しかありません。
 カエルのように首はなく、顔がからだとつながっています。
 そのバケモノが新兵衛をみて、ニヤニヤとわらったのです。
「うーん」
 新兵衛はそのまま、気をうしなってしまいました。
 それからしばらくして、新兵衛は正気にかえりました。
 水たまりの中からおきあがると、なげだしたかさとちょうちんがころがっています。
 あまりの事に、それをひろう気力もありません。
 新兵衛はぐっしょりと水をふくんだきものにおしつぶされそうになりながら、ふらふらと歩きだしました。
 よく朝、新兵衛はある大きなお寺の墓場のなかにたおれているところをみつけだされましたが、そのお寺は、新兵衛の家とはまったくはんたいの、山のふもとにありました。
 さいわいなことに、新兵衛はすぐに元気をとりもどしたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → プロ野球誕生の日
きょうの誕生花 → せんりょう
きょうの誕生日 → 1961年 堤大二郎 (俳優)


きょうの新作昔話 → おしっこをかけられた神さま
きょうの日本昔話 → 夢見小僧
きょうの世界昔話 → 馬車で来た十二人のお客さま
きょうの日本民話 → 雨の小ぼうず
きょうのイソップ童話 → オンドリと宝石
きょうの江戸小話 → 火事の炭


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12月25日の日本民話 大蛇と戦った男

2008-12-25 05:28:15 | Weblog

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12月25日の日本民話


大蛇と戦った男



大蛇と戦った男
熊本県の民話熊本県情報


 むかしむかし、天草(あまくさ→熊本県の天草市)のある村に、熊蔵(くまぞう)というお百姓(ひゃくしょう)がいました。
 熊蔵は背の高い大男で、大変な力持ちです。
 ある日の事、熊蔵が村はずれの谷間にある畑にこやしをまいていると、山から六、七メートルもある大蛇(だいじゃ)がはいだしてきました。
 大蛇は真っ黒な舌をペロペロとだし、まっすぐ熊蔵にむかってきました。
 熊蔵は畑や家の庭先などで小さなヘビをいじめたりしているので、親分がうらみをはらしにきたのかと思いました。
 熊蔵はあわてて逃げようとしましたが、畑の土に足をとられて、思うように逃げられません。
 近づいてきた大蛇が熊蔵に大きな口を開けたとき、熊蔵はこやしのおけをかついできたてんびん棒をふりあげて、むかってきた大蛇を何度もたたきました。
 ところがいくらてんびん棒で打ち付けても、鉄か石をうったような音がするだけで、大蛇にはまるで通じません。
 熊蔵はてんびん棒を放り投げると、大蛇にいいました。
「まて、まて。ちょっとまて。おらには親もあれば兄弟もおる。これから家へ帰って、いとまごい(→別れのあいさつ)をしてくる。それから死ぬか生きるかの勝負だ。必ず戻ってくるから、お前はここでまっていろ。いいか、ぜったいに逃げるなよ」
 大蛇は熊蔵の言葉がわかったのか、ひと休みするように、その場で長いからだをクルクルと巻いて、大きなとぐろを作りました。
 さて、熊蔵は走って家に帰ると、大蛇のことを大声で口走りながら、を手にして畑へひきかえしていきました。
 近所の人たちも、カマや棒切れを持って熊蔵のあとを追っていきます。
 ところが畑についてみると、大蛇の姿は消えていたのです。
「おい熊蔵。大蛇はどこにおるんじゃ?」
「お前、ねぼけておったんじゃねえのか?」
 はりきってやってきた者たちは、残念そうな顔をしていいました。
「おかしいな。キツネかタヌキに化かされたかな?」
 ですが、山のかげから畑までの草木はなぎたおされており、大蛇が畑に現れたあとだけは、はっきりと残っていたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → スケートの日
きょうの誕生花 → クリスマスホーリー
きょうの誕生日 → 1961年 栗原景子 (俳優)


きょうの新作昔話 → 百七十歳の九尾キツネ
きょうの日本昔話 → ネコと茶がまのふた
きょうの世界昔話 → クリスマスの鐘
きょうの日本民話 → 大蛇と戦った男
きょうのイソップ童話 → 満腹したオオカミとヒツジ
きょうの江戸小話 → まんぞく


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12月24日の日本民話 生けどられたカミナリ

2008-12-24 05:39:26 | Weblog

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12月24日の日本民話


生けどられたカミナリ



生けどられたカミナリ
三重県の民話三重県情報


 むかしむかし、赤須賀(あかすが)という漁夫(ぎょふ)の町へ、大雨とともに赤い体の大きなカミナリが、ドスンと井戸の中へ落ちてきました。
 そこにいた村人がビックリして、何が落ちてきたんだろうと思い、井戸の中をのぞいてみてみるとカミナリが、
「たすけてくれー」
と、泣いているのでした。
「たすけてくれだと、なにをいうか! 人の家をなんども焼いているくせに!」
と、いって、村人は井戸にふたをしてとじこめてしまいました。
 さすがのカミナリも、これにはまいってしまい、大声を出して何度も頼みました。
「おねがいだ。どうかふたをあけてくれ。おねがいだ」
「よし、ふたをあけてやるから、そのかわりに何かいい物を残して行け」
 村人がいうと、カミナリは、
「今は何一つ持っていないから、背中につけている太鼓(たいこ)を井戸に入れておく。それからこの井戸には、一年中水がきれないように、たくさんの水を入れておくから」
と、いいました。
 そしてカミナリは、空へ飛んで行くときに、
「ありがとうございました。これからはこの土地へは二度とカミナリを落としませんから、どうぞご安心のほどを」
と、いって、かたく約束しました。
 それからはその井戸の水がきれたことがなく、また、年中太鼓の音が井戸の中からひびいて来るという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → クリスマスイブ
きょうの誕生花 → やどりぎ
きょうの誕生日 → 1968年 藤崎あや (歌手)


きょうの新作昔話 → カニの甲羅の毛
きょうの日本昔話 → サルとヒキガエル
きょうの世界昔話 → 3つの願い
きょうの日本民話 → 生けどられたカミナリ
きょうのイソップ童話 → 猟師とライオン
きょうの江戸小話 → とり目


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12月23日の日本民話 とけてしまった雪ん子

2008-12-23 05:20:46 | Weblog

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12月23日の日本民話


とけてしまった雪ん子



とけてしまった雪ん子
青森県の民話青森県情報


 むかしむかし、ある雪国に、おじいさんとおばあさんがいました。
 二人には子どもがいなかったので、お宮さんにおまいりして、
「なんとか、わしらにも子どもをさずけてください」
と、お願いしたのです。
 すると、二人の夢の中に神さまが現れて言いました。
「そなたたちの願いを聞き入れよう。女の子をさずけるから、雪で人形をつくるがよい」
 次の朝、おじいさんとおばあさんは大喜びで庭へ出ると、さっそく雪で人形をつくりました。
 頭はおかっぱ(→前髪を切り下げ、後髪をえり元で切りそろえた、少女向きの髪型)で、目がクリクリと大きな、とてもかわいい人形です。
「よし、かわいい人形が出来た。こんな娘が、本当にいてくれたらなあ」
「そうですね。雪人形でなく、本当の娘だったら」
 二人が雪人形をながめていると、人形がスーッと消えて、そのかわりに雪人形そっくりの、かわいい女の子が現れたのです。
 女の子は二人を見て、ニッコリとわらいました。
「おおっ、本当の女の子だ。神さまが願いをかなえてくれたんじゃ」
「ありがたい、ありがたい」
 おじいさんとおばあさんは女の子をだきかかえるようにして、家につれていきました。
 見れば見るほどかわいく、それに心のやさしい女の子で、おじいさんとおばあさんを、
「お父さん、お母さん」
と、よんでくれるのです。
 二人はこの女の子に雪ん子という名前をつけて、それはそれは大切に育てました。
 ところがどういうわけか、女の子はあたたかいのが大嫌いで、おじいさんやおばあさんがいろり(→地方の民家などで、床ゆかを四角に切り抜いてつくった暖房のためのもの)にあたれと言っても、
「おら、寒いところがええ。暑いところはいやじゃ」
と、言うのです。
 それにごはんもみそしるも、冷たくなってからでないと食べません。
 それでも、雪ん子はかぜ一つひかないので、二人は、
「ほんに雪ん子は、名前のように元気な子じゃのう」
と、言って、あきれるやら感心するやら。
 ところがある時、近所の子どもたちが一緒に遊ぼうと、雪ん子をさそいにきました。
 雪ん子は、遊びに行くのを嫌がりましたが、
「雪ん子や、家にばかりいないで、たまにはみんなと遊んでおいで」
と、おばあさんに言われて、しかたなく出かけました。
 さて、近所の子どもたちは、雪ん子をたき火のそばへつれていきました。
 あたたかいのが大嫌いな雪ん子を、みんなでからかってやろうというのです。
「雪ん子、火にあたれ」
「そうだ。もっと火のそばへ行け」
 子どもたちは嫌がる雪ん子をつかんで、たき火のそばへおしつけました。
「いや! あついのはいや!」
  嫌がる雪ん子の体から、氷のように冷たい汗が流れました。
そのとたん、ジューッという音がして、雪ん子は消えてしまいました。
「あっ、雪ん子がいなくなった」
 子どもたちはビックリして、たき火を見つめましたが、小さくなったたき火の上に、白い湯気(ゆげ)がけむりのように立ちのぼっているだけです。
 かわいそうに、雪から生まれた雪ん子は、火にとけてしまったのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → テレホンカードの日
きょうの誕生花 → オリーブ
きょうの誕生日 → 1978年 矢田亜希子 (俳優)


きょうの新作昔話 → サル酒
きょうの日本昔話 → アリとあんこ
きょうの世界昔話 → みそさざいとクマ
きょうの日本民話 → とけてしまった雪ん子
きょうのイソップ童話 → ツグミ
きょうの江戸小話 → 貧乏浪人


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12月22日の日本民話 娘の知恵でサル退治

2008-12-22 00:53:55 | Weblog

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12月22日の日本民話


娘の知恵でサル退治



娘の知恵でサル退治
三重県の民話三重県情報


 むかしむかし、伊勢の国(いせのくに→三重県)におじいさんとおばあさんと娘三人がすんでいました。
 その娘の名は睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)といい、三人とも、花もはじらう美人です。
 さて、ここから三里(さんり→約12キロ)はなれた山奥には、山の主といわれる大ザルが住んでいました。
 大ザルはいつのまにか、この娘たちが好きになりました。
 そして大ザルは山からおりて来ると、おじいさんとおばあさんにむかって、
「三人の娘さんのうち、誰でもよいからわしの嫁にくだされ、もしもいやなら、その場で一家五人を食い殺してしまうぞ!」
と、言うのです。
 おじいさんとおばあさんはガタガタとふるえながら、仕方なく、姉(あね)の睦月(むつき)を呼んで言いました。
「睦月よ、お前、あの大ザルのところへ嫁に行ってくれないかのう」
 すると娘は、ブルブルとふるえながら、
「どうかゆるして下さい。あんな恐ろしい大ザルのところへ嫁に行くのだけは」
 こまったおじいさんとおばあさんは、次に如月(きさらぎ)を呼び、
「如月よ、あの大ザルのところへ嫁に行かないか」
「姉上さまさえこわくていけないのに、私はごめんいたします」
 おじいさんとおばあさんは仕方なく、末娘の弥生(やよい)を呼んで言いました。
「弥生よ、姉さま二人はいやだといっているのだが、お前はどうかな?」
と、聞くと、弥生は言いました。
「どうぞご安心(あんしん)下さい。嫁には私がまいります」
 おじいさんとおばあさんはかわいそうに思いながらも、一家五人が食われてしまうよりはいいだろうと考え、入口で待っていた大ザルに、
「三番目の弥生をお前にやることにしたが、いろいろ仕度(したく)もあるので、五日ほど待ってもらいたい。五日たったらむかえにきて下され」
と、言いました。
「よし、では五日たったらこよう」
 大ザルはよろこんで帰っていき、五日目の朝、三里の山道をキーキーいいながら来ました。
 きれいな花嫁衣装を着た弥生が出ると、大ザルはその美しさにただ見とれるだけです。
 弥生は大ザルにあいそ笑いをしながら、涙を流す二人の姉に小声で言いました。
「きっと帰って来るから、待っててね」
 弥生は大ザルと一緒に山をこえて、川をわたり、森をぬけましたが、なかなか大ザルの家には着きません。
 でも夜中になって、やっと大ザルの家に着くと、大ザルはニコニコ顔で掃除(そうじ)をしたり、朝ごはんを作ったりしました。
 やがて朝が来たので、弥生は大ザルの作ってくれた朝ごはんを食べながらいいました。
「私は、あなたのところへお嫁に来てとっても幸せです。私の喜んでいる姿を家の人に見せたいので、一緒にいきませんか?」
「ああ、いいよ。かわいいお前のためだ。さっそく行くとしよう」
と、急いでしたくをする大ザルに、弥生が言いました。
「親の家に行くのだから、じいさまとばあさまの大好物のおもちを、ひと臼(うす)ついて持っていきたいのです」
「よし、わかった。かわいいお前のためだ。さっそくつくとしよう」
 大ザルは、ペッタン、ペッタンと、おもちをついてくれました。
「さあ出来た、この重箱(じゅうばこ)に入れていこう」
「じいさまとばあさまは、重箱のにおいがきらいなのです」
「そうか。では、どんぶりに入れていこう」
「じいさまとばあさまは、どんぶりのにおいが大きらい。臼のまま背負っていきましょう」
 そこで大ザルは臼を背負って、山道を下りはじめました。
 途中、がけの上のほうに大きな美しい桜の木が、今を盛りとさいています。
「あなた。じいさまとばあさまは桜の花が大好きだから、一枝とって下さいな」
「ああ、木登りはまかせてくれ」
 木登りが得意な大ザルは、臼を背負ったまま木登りをはじめ、サクラの枝に手をかけると、
「それではなく、もっと先のをおって下さいな」
「それなら、この枝か?」
「いやいや、もっと先のをおって下さいな」
「では、この枝ではどうじゃ?」
「いやいや、もっと先のをおって下さい。一番てっぺんの、あの枝をおって下さいな」
「よし、わかった」
 大ザルはどんどん上に登り、とうとうてっぺんの枝に手をかけたとき、
 ポキリ!
 足もとの枝がおれてしまい、大ザルは重い臼を背負ったまま谷底ふかくまっさかさまに落ちてしまい、臼の下じきになって死んでしまいました。
 弥生は急いで、おじいさんとおばあさんと二人の姉さんの待っている家に帰りました。
 みんなは手に手をとって大喜びで、もとのように仲よくくらしたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → シーラカンスの日
きょうの誕生花 → セントポーリア
きょうの誕生日 → 1966年 國生さゆり (俳優)


きょうの新作昔話 → 大力次郎
きょうの日本昔話 → ブラブラたろう
きょうの世界昔話 → うかれヴァイオリン
きょうの日本民話 → 娘の知恵でサル退治
きょうのイソップ童話 → シャコと人間
きょうの江戸小話 → はだか


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