JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

「最高機密エージェント」

2017-03-24 14:40:09 | 読書
 ディヴィッド・E・ホフマン著、花田知恵訳
「最高機密エージェント」CIAモスクワ諜報戦 を読了

 機密開示で明らかになった冷戦期のモスクワを舞台に
繰り広げられた「10億ドルのスパイ」トルカチェフの
実像とCIAの動きを描いた読み物です。

 1977年から1986年の長きにわたるトルカチェフのスパ
イ行為と彼を運用するCIAのモスクワ支局の担当者との
克明な記録は驚くようなものでスパイ小説顔まけの事実
でした。
 冷戦時代に行われた主としてソ連のレーダー技術の開
発情報がほぼアメリカは手に入れていた事実は驚きです。

 思いだせば、1976年函館にミグ25が飛来して大騒
ぎになったことがあった時代に、モスクワではこんなこ
とが行われていたのです。この物語の中にもパイロット
のベレンコが受け取ったと同じ額の報酬を要求したという
文章も出てきます.

 トルカチェフはソ連の空軍用のレーダーの技術者で、
重要な技術設計の資料を見ることができる立場にいて、
ソ連の体制に不満を持っていて、CIAに接触してくるので
す。
 CIAとしてはやはりはじめは疑いの目で見ます。提供さ
れた資料が本物か、アメリカにとって欲しい情報かと検討
し、スパイとして使えると判断してからは、いかにKGBの
目をかいくぐり運用していくかの苦労も面白いです。
 ペンタックスの一眼レフが渡され、多くの資料がコピー
されたようです。
 アメリカのレーダー開発がソ連をはるかに追い越してい
たのは、このトルカチェフからの情報があったからといわ
れ、10億ドルの価値と賞賛されています。
 
 これまで好きですから多くのスパイ小説を読んできまし
たが、実際は小説なんてものではなく、とてつもない情報
が盗まれていたのです。小説家のびっくりでしょうね。

 スパイなんてだましだまされの世界ですが、トルカチェ
フがKGBに捕まって最後は死刑になったのですが、そのき
っかけは、CIAをくびになったアメリカ人がソ連のスパイ
になって情報が流れたと言う皮肉な結果も、やはりそんな
ものかと変に納得します。

 久しぶりに大枚2800円も出して文庫本以外の本を
購入しました。
コメント    この記事についてブログを書く
« About 4K9W | トップ | 春なのに 寒い!! »

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事