JA6VQA 日々新たに

趣味のアマチュア無線で海外との交信や写真などを中心に、日々感じることを書き綴ってみます。
 

小説 「象の墓場」 楡 周平著

2016-05-13 17:06:10 | 読書
 お空の方はコンディション的にはこの季節それなり
なんでしょうが、これといったところも出てこないので
常時JT-65をワッチしております。

 ベッドに入って寝付くまで、電子本で「象の墓場」を
読んでおります。
 時は1992年 米国のフィルム会社の日本社でのデ
ジカメの出現によるフィルム業界の対応を題材にしたも
のです。
 読んでいると現実社会の会社とオーバーラップしてし
まいます。
 あくまでも小説の世界での話なんですが、ついアメリ
カのフィルム会社といえばC社を日本でのライバル会社と
いえばF社を当てはめてしまいます。

 当時のフィルム関係の販売ルートがどうであったかは
よく知りませんが、カラーフィルムが普及し、現像、焼
き付け作業はほとんどラボに集中して行われていたと思
います。町のカメラ屋さんはカラーフィルムを販売し、
現像焼きつけの取次で商売をしておられたんでしょうが、
デジカメが出始め、普及してくるに従い、飯の種が小さ
くなっていったんですね。
 あれほどあった町のカメラ屋さんは姿を消し、大手何
社かが生き残っているのみのようです。

 最近のアメリカのC社のことはよく知りませんが、日本
のF社はまったくフィルムの需要がなくなったわけではな
いのでしょうが、ほかの面でしっかり稼いでいるようです。
 当時はカラーフィルムが売れなくなるとどうなるんだろ
うと他人事ながら心配もしました。
 私の会社でも以前は病院関係のX線フィルムの保存袋の
加工が多く注文がありましたが、もうX線フィルムを使う
病院はなくなり、まったく注文がなくなりました。
 ほとんどの病院のレントゲンはデジタル化されてしまっ
たようです。

 小説ではフィルム1本で営業してきた社内で画像をいか
にデジタル化し、その関連機器の開発に取り組み、新しい
市場を開拓していく担当者の苦労が描かれています。そ
の同じ時代を趣味を通じて通ってきた自分にとっては、
1992年から2004年にかけての小説の世界と現実の
世界とが行き交い、知らない世界はそうであったのかもと
思って読んでおります。
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